2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study for the regulation of exit from quiescent self-renewing programs in human hematopoietic stem cells by chromatin looping factor, CTCF
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20K08705
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高山 直也 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (10584229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 基彦 東京大学, 医科学研究所, 助教 (70506287)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヒト造血幹細胞 / CTCF / 静止期 |
Outline of Annual Research Achievements |
HiC/ATAC/RNAシークエンス法による解析から、ヒト造血幹細胞の静止期から活動期への移行に伴い開いていくクロマチン領域に、351個のCTCFが結合するクロマチンループが同定され、そのループ内には412個の遺伝子が内包されていることを明らかにした。興味深いことにこれらのループ内の遺伝子のほとんどが、LT-HSC(静止期)からST-HSC(活動期)の分化に伴い、発現が抑制されることから、転写抑制に働くクロマチンループであることが分かった。またこれらのループに内包される遺伝子は、従来報告されてきた幹細胞制御経路である、細胞周期、アポトーシス、代謝、インターフェロンシグナルなどに関連する遺伝子であった (Takayama、Cell Stem Cell2021)。 令和4年度は上記経路のうち、インターフェロンシグナルに着目して、研究を進めた。インターフェロンは、長期の刺激で幹細胞を枯渇させる幹細胞に対して負の制御因子として知られている。一方、興味深いことに臍帯血由来造血幹細胞分画は、静止期の状態でインターフェロンシグナル遺伝子群が高発現していたため、何らかの幹細胞特異的な機能が疑われた。そこで、主要な分子であるIRF3/7に対し、shRNA遺伝子抑制を行い、FACSによる表面マーカー解析を行った。ノックダウンにより、造血幹細胞分画の強い増殖抑制が観察される一方、CD34陽性の造血前駆細胞やさらに分化した集団への影響は限定的であり、幹細胞特異的な機能が示唆された。一方、リコンビナントIFNαタンパクを複数濃度で添加しても幹細胞集団の増幅は見られず、むしろ高濃度で減少するという結果であった。 以上から、臍帯血由来造血幹細胞は、IFN非依存的に維持されるインターフェロンシグナルにより、幹細胞性を維持している可能性が示唆された。現在、長期骨髄再構築能の評価を計画している。
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Remarks |
ヒト造血幹細胞による幹細胞制御機構の分子メカニズムが明らかに 難治性血液疾患の発症機序の解明へ期待https://www.jiji.com/jc/article?k=000000475.000015177&g=prt
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