2022 Fiscal Year Annual Research Report
トロンボポエチン受容体作動薬ロミプロスチムの造血への影響とDNA修復効果の検証
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20K08708
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石山 謙 金沢大学, 附属病院, 講師 (60377380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細道 一善 金沢大学, 医学系, 准教授 (50420948)
中尾 眞二 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (70217660)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 再生不良性貧血 / トロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RA) / ロミプロスチム / 体細胞遺伝子変異 / クロナリティ / miniscule PNH顆粒球 |
Outline of Annual Research Achievements |
トロンボポエチン受容体作動薬(TPO-RA)であるエルトロンボパク(EPAG)またはロミプロスチム(ROMI)が奏効した再生不良性貧血(AA)患者において、体細胞変異クローンの新たな出現または既知変異クローンの拡大がみられるか否かを引き続き検討した。2年以上に渡ってTPO-RAを投与された41例の末梢血白血球を検討したところ、9例(21.4%)に、ASXL1、RUNX1変異を含む体細胞変異と染色体の構造異常が認められた。このうち、複数の体細胞変異を認めた2例と、ASXL1のフレームシフト変異を認めた1例の計3例(7.1%)は骨髄異形成症候群に移行したが、その他の症例では明らかなクローン進展は見られなかった。この体細胞変異の検出頻度は、ヒストリカルコントロールと比べてほぼ同等であることから、体細胞変異クローンがTPO-RAによって拡大する可能性は低いと考えられた。一方、ROMIに対して二次不応となった3症例においてRUNX1変異が検出されたことから、RUNX1変異に関連した幹細胞の変異が、ROMIに対する感受性低下に関与している可能性が示唆された。 また、昨年度に引き続き、0.003%未満の発作性夜間ヘモグロビン尿症(miniscule paroxysmal nocturnal hemoglobinuria: PNH)形質顆粒球(miniPNH型顆粒球)と、TPO-RAに対する反応性との関係を検討した。ROMIまたはEPAGを投与されたPNH型顆粒球陰性例21例のうち、mimiPNH型顆粒球陽性の7例は全例(100%)がTPO-RAによって改善したが、mimiPNH型顆粒球陰性の14例におけるTPO-RAの奏効率は57%であった。mimiPNH型顆粒球陽性例では、免疫抑制療法に対する反応性は不良であるものの、TPO-RAに反応する健康な造血幹細胞が残存していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)