2020 Fiscal Year Research-status Report
炎症関連リンパ腫で形成されるケモカインネットワーク分子基盤の解明と治療標的の同定
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20K08714
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
大畑 雅典 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (50263976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 智紀 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 講師 (00448771)
橋田 裕美子 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (00767999)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リンパ腫 / ウイルス / ケモカイン / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性リンパ腫の発症には、細菌やウイルスなどの微生物感染や慢性炎症が関与することが多い。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma, DLBCL)においても、WHO分類改定第4版で「DLBCL associated with chronic inflammation(DLBCL-CI)」というカテゴリーが新たに設けられ、昨今注目を集めている。DLBCL-CIの多くはEpstein-Barr virus(EBV)感染を伴い、そのウイルス感染と長期的な慢性炎症が発癌と密接に関連する。このような微生物感染が発癌に関わる悪性リンパ腫は明確な免疫不全をもたらす基礎疾患を背景にもたない免疫適格患者においても発症することが特徴である。また、炎症局所への免疫細胞遊走で重要な役割を担うケモカインはウイルス感染細胞でその産生が亢進するが、ウイルス発癌におけるケモカイン発現やその役割に関する詳細は十分に解明されていない。したがって、ケモカイン系と微生物感染に起因する慢性炎症関連リンパ腫形成の関係を深く理解することは、DLBCL-CIの局所免疫抑制機構の解明につながる可能性がある。 そこで今回は、DLBCL-CIのプロトタイプである膿胸関連リンパ腫に焦点を当て、ケモカインのmRNA発現をリアルタイムPCR解析により定量的かつ網羅的に調べた。その結果、調べた8つの膿胸関連リンパ腫細胞株において、CXCL9、CXCL10、CXCL16、CCL3、CCL4、CCL5、CCL17、CCL22などのケモカインの発現が強く認められることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
8つの膿胸関連リンパ腫細胞株を入手し、ケモカイン発現の網羅的解析を行った。その結果、総合的に高発現の認められる種々のケモカインを同定することができた。慢性炎症関連リンパ腫の発症や病態修飾にどのような影響を及ぼすのかという問題提起になる所見である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回は慢性炎症関連リンパ腫の代表である膿胸関連リンパ腫細胞におけるケモカイン発現解析を行った。これを基にケモカイン受容体発現解析も行い、このタイプのリンパ腫に特徴的な腫瘍微小環境でのケモカインネットワークの分子基盤と免疫抑制機構を把握し、腫瘍進展メカニズムの解明に資する研究を推進する。
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Causes of Carryover |
試薬を中心に物品費の支出を必要最低限に抑えて予算を執行し、また当該年度においてはネット配信による学会参加のため旅費予算を執行する必要がなくなったため繰越金が発生した。 次年度も引き続き遺伝子検出関連試薬、蛋白発現解析用試薬、プラスティック器具、細胞培養関連試薬などの物品費を中心に予算を計上する。また必要に応じ備品購入に充てる。
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