2020 Fiscal Year Research-status Report
血液がんに関わるMMSETとヌクレオソーム複合体のクライオ電顕による構造解析
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20K08717
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐藤 光 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90300962)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MMSET / cryo-EM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、遺伝子転写を正に調節するヌクレオソーム修飾酵素MMSETの異常な活性亢進によって多発性骨髄腫(MM)や急性リンパ性白血病(ALL)が引き起こされるメカニズムの解明を目的とした、クライオ電子顕微鏡によるMMSET-ヌクレオソーム複合体の高解像度での立体構造決定を行う。 これまでの予備実験において低解像度(約8Å)のMMSET-ヌクレオソーム複合体の立体構造が得られていた。本年度はさらなる高解像度のデータ取得を目的として、試料緩衝液の塩濃度、試料濃度、試料グリッド作製条件などを含めた試料調製方法全般の最適化や、予備実験で用いていた200kVの加速電圧を持つクライオ電子顕微鏡Talos Arcticaから、より高出力(300kV)の Titan Kriosに測定装置を変更してデータを取得し解析を行った。その結果、アミノ酸側鎖が観測可能な解像度(2.8Å)まで解像度が向上した。得られた高解像度の立体構造から、MMSETはヌクレオソームと複合体を作ることによって単体構造から大きく構造変化を起こしていること、ヌクレオソーム単体構造と比較してDNAが一部はがれていること、またDNAがはがれたヌクレオソーム部分にMMSETが入れ替わるように結合していることがわかった。 本研究で用いたMMSETはヒストンH3の36番目のリジンをメチル化する活性が異常亢進をしているガン化変異体(1099番目のグルタミン酸がリジンに変異)である。得られた複合体の高解像度の立体構造から、なぜ1アミノ酸の変異によって酵素の活性が異常亢進しているのかを解明するために、様々なアミノ酸変異体の作製及び活性の測定や、分子動力学的な手法を用いたシミュレーションを現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標である高解像度データ取得条件を決定するところまで進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階でおおむね高解像度の電子顕微鏡密度を得ることができているが、部分的に密度が低い部分が存在するため、さらなる測定条件の最適化が達成できれば酵素活性亢進メカニズムの理解に役立つと考えられる。今後は、測定データの解析方法の工夫を行うことや、クライオ電顕試料作製時に複合体をより安定させるクロスリンク法や、コアヒストンに対する抗体を測定試料に加えるなど、他のヌクレオソームを含む研究において解像度向上に効果のあった方法の導入も視野に入れている。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた構造解析用PCは既存の機器の稼働状況が少なかったため、そちらを用いたので新たに購入しなかった。また、旅費や学会参加費が不要であった。生じた次年度使用額は、構造解析結果を検証するための新たに設計した変異体の解析のために使用する。
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