2021 Fiscal Year Research-status Report
血液がんに関わるMMSETとヌクレオソーム複合体のクライオ電顕による構造解析
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20K08717
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐藤 光 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90300962)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MMSET / cryo-EM |
Outline of Annual Research Achievements |
ヌクレオソームメチル化酵素であるMMSET(別名NSD2)はヌクレオソームを構成するヒストンH3の36番目のリジン残基(H3K36)をメチル化することによって遺伝子の転写を正に調節している。多発性骨髄腫(MM)や急性リンパ性白血病(ALL)の一部では、MMSET発現量の増加や、酵素活性を異常に亢進させる特定のアミノ酸変異が疾患発症の原因であることが知られている。本研究では、このアミノ酸変異が酵素活性の異常亢進を起こすメカニズムの解明を目的として、MMSET-ヌクレオソーム複合体の高解像度の立体構造決定をクライオ電子顕微鏡を用い行っている。 これまでにMMSET-ヌクレオソーム複合体のクライオ電子顕微鏡実験により、高解像度(2.8Å)の立体構造が得られている。それによるとMMSETはヌクレオソームと複合体を作ることによって単体構造から大きく構造変化を起こしていることがわかった。本研究で用いたMMSETはメチル化活性が異常亢進をしているガン化変異体である。得られた複合体の高解像度の立体構造を元にしたアミノ酸変異体の酵素活性測定実験、および活性が異常亢進したガン化変異体と正常な活性を持つ野生型のMMSETを分子動力学的なシミュレーションによって比較したところ、野生型に備わっている活性をオンオフするスイッチが、ガン化変異体ではオフになりにくくなっていることが示唆された。 Sato, K., et al. Structural basis of the regulation of the normal and oncogenic methylation of nucleosomal histone H3 Lys36 by NSD2. Nat Commun 12, 6605 (2021). https://doi.org/10.1038/s41467-021-26913-5
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標であるMMSETのガン化変異による活性の異常亢進機構のメカニズムを分子レベルで解明し、論文として受理されている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで解析に用いたMMSETタンパク質は酵素活性を示す部分に的を絞ったものであった。今後は、様々な制御を担うと考えられる部位を含む全長のMMSETを用いた解析を行っていくことを予定している。
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Causes of Carryover |
ほぼ予定通りの支出であったが、1737円分が残ってしまった。この残った助成金は次年度に新たに行う新たなタンパク質発現系の構築に使用する。
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Research Products
(2 results)