2021 Fiscal Year Research-status Report
How does aberrant B lymphocyte produce a origin of multiple myeloma cells?
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20K08738
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
坂井 晃 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70284221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 悠 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00722472)
津山 尚宏 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10335747)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 成熟Bリンパ球 / 再プログラミング / iPS細胞 / 多発性骨髄腫 / 骨髄前駆細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢発症が特徴の多発性骨髄腫 (MM)は、成熟Bリンパ球において免疫グロブリンH 鎖遺伝子の座位する14番染色体を中心とした染色体相互転座が原因とされ、骨髄の幼若なBリンパ球のIgH遺伝子可変領域の再構成に伴う染色体相互転座が腫瘍化の原因である濾胞性リンパ腫とは異なる。またBリンパ球の細胞表面抗原であるCD19が欠失する。さらに顆粒球系の細胞表面抗原であるCD33の発現やアミラーゼ、アンモニアを産生する骨髄腫細胞もあり成熟Bリンパ球から再プログラミングの関与が示唆される。本研究は、MMの腫瘍起源となる異常Bリンパ球は、成熟Bリンパ球が再プログラミング後に染色体異常を生じた細胞であることを証明するため、正常Bリンパ球からiPS細胞 (BiPSCs) を樹立し、さらにがん関連遺伝子 (KRAS, NRAS) の導入やゲノム編集により染色体転座t(11;14)を誘導しp53遺伝子を欠失させた。またこれらのBiPSCsはマウスストローマ細胞 (MS-5) との共培養において、臍帯血由来の造血前駆細胞 (HPC) とは異なりBリンパ球への分化は認められずさらに工夫が必要と考えられた。本研究では、BiPSCs由来のHPCからBリンパ球へ分化に必要な因子を見出し、それをBiPSCsに移入することで、異常Bリンパ球の発生機序の解明に繋がる細胞の作製を行う。これは生体内で加齢や慢性炎症による正常細胞のエピジェネティックな変化が細胞のがん化に繋がる機序の1つであることを支持する腫瘍化のモデルであり、がん発生の予防方法の開発に繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正常Bリンパ球からiPS細胞を作製 (BiPSC) し、Tet-offシステムでAIDを発現誘導可能な細胞株(BiPSCs-AID)を樹立した。この細胞は元のBリンパ球と同様のIgH再構成を持つiPS細胞であり、CD34+/CD38-の骨髄前駆細胞 (HPC) に分化可能である (Sci Rep, 2017)。次にゲノム編集を用いて、BiPSCs-AIDに染色体転座t(11;14)とp53の欠失を誘導し (Sci Rep, 2021)、さらにMM発症の初期から認められるKras及びNrasの変異を持つBiPSCsを作製した。これらを単独またはHPCに分 化後NRGマウスに移植し、MMまたはBリンパ系腫瘍の発生を試みている。また臍帯血と異なりBiPSCs由来のCD34陽性細胞では、ミトコンドリア機能調節分子のMitofusin2とクロマチン構造調節分子のSatb1の発現がないことも確認した。現在これら2つの遺伝子を2種類のBiPSC由来のHPCに導入実験を行っているが、Bリンパ球への分化を誘導できていない。また2種類のBiPSC由来のCD34陽性細胞と臍帯血由来のCD34陽性細胞における遺伝子発現の違いを、single cell RNA解析を用いて開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が樹立した正常Bリンパ球由来のiPS細胞(BiPSCs)は、DNA2本鎖切断に関与するAIDを発現誘導可能である。さらにゲノム編集により染色体転座t(11;14)を持ちp53遺伝子を欠失するがHPCに分化する。これらの細胞を用いて以下の研究を行い、最終的に染色体転座t(11;14)及びAIDを誘導したBiPSCsからさらに骨髄腫の形成メカニズムを解明するためのBiPSCsを作製したい。まず、① Mitofusin2及びSatb1をそれぞれまたは同時にレンチウイルスベクターを用いてBiPSCsに移入し、tet-offシステムでCD34陽性のHPCに分化時に発現させストローマ細胞(MS-5)との共培養でBリンパ球へ分化誘導を行う。次に、② Bリンパ球への分化が可能であれば、同様の方法でBiPSC t(11;14)p53-/-へ移入実験を行いBリンパ球への分化誘導を行う。 また、③ BiPSCsから CD34陽性のHPCへ分化後、CD34microbeadsまたはセルソータを用いてCD34陽性細胞を分離精製する。これとタカラバイオから購入したヒト臍帯血CD34陽性細胞を国立遺伝研究所に送りscRNA解析を行う(新学術領域研究(先進ゲノム支援)に採択済)。③によりHPCからBリンパ球分化に重要な因子が見出された場合は、①と同様にBiPSCsへの移入を行いBリンパ球への分化誘導を行う。 さらに、④ BiPSCsがCD19陽性のBリンパ球へ分化した段階で染色体転座t(11;14)が誘導できるLoxP/Creシステムを構築する。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Study for exploring myeloma-initiating cell using normal B cell-derived iPS cells2021
Author(s)
Yusuke Azami, Naohiro Tsuyama, Yu Abe, Misaki Sugai-Takahashi, Ken-ichi Kudo, Miwa Fukami, Akinobu Ota, Karnan Sivasundaram, Moe Muramatsu, Tomonari Shigemura, Megumi Sasatani, Yuko Hashimoto, Shigehira Saji, Kenji Kamiya, Ichiro Hanamura, Takayuki Ikezoe, Masafumi Onodera, Akira Sakai
Organizer
第83回日本血液学会学術集会
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