2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of developing refractory leukemia
Project/Area Number |
20K08745
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野澤 真弘 北海道大学, 大学病院, 講師 (70455632)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | FLT3-ITD / DNA修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
FLT3遺伝子内縦列重複(ITD)変異陽性は急性骨髄性白血病(AML)の強力な予後不良因子であり、同種造血細胞移植によっても充分な予後の改善が得られていない。FLT3阻害剤も上市されているが、その効果は短期的、限定的であり、さらなる病態の理解と新たな治療戦略の開発が必要である。本研究ではFLT3-ITDを生じる分子メカニズムに焦点を当てて研究を進めている。本研究課題ではアンプリコンシークエンスにより、高感度でFLT3-ITDを検出する方法を開発した。ITD変異の集積部位であるFLT3 exon14, 15領域をPCR増幅し、増幅産物を次世代シークエンスで深くシークエンスを行うことで0.01%のFLT3-ITDアリルを検出可能である。PCRエラーによる偽陽性の可能性が排除できない1塩基置換とは異なり、特徴的なFLT3-ITD変異は偽陽性がなく、低頻度でも腫瘍変異と同定可能である。急性骨髄性白血病検体で検討したところ、通常のキャピラリーシークエンスでは検出できない1%未満のアリル頻度のFLT3-ITD変異が、FLT3変異陰性と判定されていた症例にも存在することを見出した。ITD長の異なる複数の低頻度FLT3-ITDがオリゴクローナルに存在する症例があることも明らかとなった。また、細胞株を用いた検討では、CRISPR-Cas9システムを用い、人工的にFLT3-ITD変異を作成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FLT3変異陰性と判定されている症例にもFLT3-ITD変異が低頻度で存在することは新たな知見である。低頻度存在するFLT3-ITDも高頻度のFLT3-ITDと同様に全て3の倍数の塩基の重複を認めた。FLT3-ITD変異はAMLの2-3割ほどに認めるとされるが、低頻度のFLT3-ITDを含めると、これまで考えられていた以上の症例に認めることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
FLT3-ITD変異を持つクローンは1症例のなかで、オリゴクローナルに存在する。ガイドライン上は予後不良に関連するのはFLT3-ITDアリル比が高い場合とされている。低頻度のFLT3-ITDを含めると、これまで考えられていた以上の症例にFLT3-ITDが存在し、FLT3-ITD変異が生じる機序と特定のFLT3-ITDクローンが増殖する機序は異なる可能性がでてきた。すなわちFLT3-ITDを生じることが予後不良因子ではなく、特定のFLT3-ITDクローンの増殖、あるいはそれを許す環境が予後不良に関連している可能性がある。我々はCRISPR-Cas9システムを用い、人工的にFLT3-ITDを作成することに成功しており、どのようなFLT3-ITDクローンが増殖アドバンテージを持つのか検討する。
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