2021 Fiscal Year Research-status Report
EVI1-GATA2バランスによる3q白血病悪性化機構の解析
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20K08747
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 未来子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (80508309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | GATA2 / EVI1 / エンハンサー / 転座 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、白血病発症前の3番染色体転座モデルマウス(3q21q26-EVI1マウス)の骨髄内に存在するEVI1遺伝子とGATA2遺伝子の発現が両方とも強く誘導されている細胞集団が、白血病細胞と同じ表面マーカー発現(B220陽性c-Kit陽性)を示す細胞を生み出すことを発見した。B220陽性c-Kit陽性細胞は正常骨髄内にはほとんど存在しないことから、この細胞集団が白血病細胞の母体となっていることが考えられた。そこで、今年度はこの細胞の特徴を詳細に解析した。この細胞集団は、Stem cell factor(SCF)、インターロイキン(IL)-3、IL-6、エリスロポエチン含有半固形培地で培養すると、連続的にコロニーを形成した。初回に形成したコロニーはコントロールマウスよりも小さいが、2回目以降に急激に大きなコロニーを形成するようになった。このコロニー増大の後に、B220陽性c-Kit陽性が出現してくることがわかった。培養液中に存在するサイトカインのうち、どれがこの変化に重要であるかを解析するために、コロニー形成細胞におけるサイトカイン受容体の発現を検討したところ、これらの細胞はIL-3受容体を高発現していた。このことから、IL-3シグナルが関与する可能性が示唆された。また今年度は、ゲノム編集により、Gata2遺伝子のエンハンサーを欠失させたマウスを作製した。3番染色体転座白血病では、片アリルのGATA2遺伝子がエンハンサーを失っている。このマウスを利用することにより、3番染色体転座白血病におけるGATA2発現低下をより正確に再現できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、白血病細胞の起源となる細胞の性質を明らかにすることができた。また、3番染色体転座で起こっているGATA2遺伝子の発現低下を正確に再現するために、Gata2遺伝子エンハンサー欠失マウスを作製できた。そのため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、今年度に作製したGata2遺伝子エンハンサー欠失マウスを用いて、EVI1遺伝子とGATA2遺伝子の発現量の差(EVI1-GATA2バランス)を生み出すメカニズムを解析する。
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Causes of Carryover |
Gata2遺伝子ヘテロ欠失マウスを用いて行う予定だった実験を、Gata2エンハンサー欠失マウス(3番染色体転座によるGATA2遺伝子発現低下をより正確に再現する)を用いて行うことに変更したため。次年度、Gata2エンハンサー欠失マウスを用いた解析(フローサイトメトリー解析、トランスクリプトーム解析等)のために使用する。
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Research Products
(1 results)