2022 Fiscal Year Annual Research Report
EVI1-GATA2バランスによる3q白血病悪性化機構の解析
Project/Area Number |
20K08747
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 未来子 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (80508309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | GATA2 / EVI1 / 転座 / 逆位 |
Outline of Annual Research Achievements |
3番染色体の転座・逆位は、急性骨髄性白血病の予後不良因子である。この転座・逆位によって、3q21領域に存在するGATA2遺伝子の遠位造血エンハンサーが、自身の遺伝子から離れて3q26領域の原がん遺伝子EVI1遺伝子の近傍へと移動する。このことがEVI1遺伝子の発現増加だけでなく、GATA2遺伝子の発現低下をもたらし、予後不良の白血病を惹起する。白血病発症前の3番染色体転座白血病モデルマウス(3q21q26-EVI1マウス)において、1個の生細胞中の逆位アリル由来のEVI1遺伝子の発現をtdTomato蛍光で、正常アリル由来のGATA2遺伝子の発現をGFP蛍光で同時にモニターして観察したところ、骨髄内にEVI1遺伝子とGATA2遺伝子の発現が両方とも強く誘導されている細胞集団が独立して存在していた。この細胞は少なくとも4回の連続コロニー形成能と移植再建能を有していた。また、これらの細胞は白血病細胞と同じ表面マーカー発現(B220陽性c-Kit陽性:正常骨髄内にはほとんど存在しない)を示す細胞を生み出した。この細胞集団には、造血幹細胞画分と前駆細胞画分が含まれているが、幹細胞画分だけでなく、前駆細胞画分も連続コロニー形成能およびをB220陽性c-Kit陽性産生能を獲得していた。最終年度にGata2遺伝子遠位造血エンハンサー欠失マウスを作製して解析を行なったところ、幹細胞ではGata2遺伝子発現が維持されていたが、前駆細胞においてGata2遺伝子の発現が減少していた。以上より、造血前駆細胞が3番染色体転座・逆位を伴う白血病発症の母体となっていることが考えられた。
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Research Products
(2 results)