2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of new JMML therapy based on cell adhesion molecules and cell proliferation signal analysis
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20K08750
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
坂下 一夫 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (10345746)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 若年性骨髄単球性白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年性骨髄単球性白血病(JMML)は、RAS/MARKシグナル伝達関連の遺伝子異常で発症し、遺伝学的解明が進んだ。治療においては造血幹細胞移植が唯一の根治的治療であるが、治療成績は5割前後で進歩が認められず、新たな治療法の登場が待たれている。我々の研究グループはJMML白血病幹細胞の増殖には未熟な造血環境が非常に重要な役割を担っていることを報告した(Sakashita et.al Leukemia,2015)。このことからJMML白血病性幹細胞の細胞間作用がJMML白血病性幹細胞の増殖に与える影響に着目し、細胞接着分子であるカドヘリンスーパーファミリーに属するプロトカドヘリン17(PCDH17)遺伝子をJMMLの病態説明をする候補の一つとして見出した。JMML症例のCD34陽性細胞でshRNAを用いてPCDH17をノックダウンするとJMML白血病幹細胞であるCD34+CD38-細胞の増殖を抑制した。この系を利用し、PCDH17と増殖シグナルとの関連を解析し、新たなる分子標的治療薬の探索を行う。今回の研究は正常造血幹細胞およびJMML幹細胞でのPCDH17遺伝子の分化、増殖に与える働き(シグナル伝達)を解析することにより、分子標的治療の新たなるターゲットの探索とPCDH17遺伝子の発現調節をターゲットとした治療戦略の可能性についての検討を目的として解析を進めている。さらにJMML幹細胞を用いMEK阻害剤とHDAC阻害剤との併用による効果を解析し、PCDH17の発現とその効果の関わりについて解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は正常造血幹細胞,JMML白血病幹細胞におけるPCDH17の役割及び正常造血幹細胞,JMML白血病幹細胞におけるPCDH17の役割について解析を進めた。正常造血幹細胞(臍帯血由来幹細胞を用いる)およびJMML白血病幹細胞に対して、shRNAを利用しPCDH17をノックダウンした細胞をAGM-S3細胞およびサイトカインで培養し、幹細胞の増殖能および分化について細胞表面マーカーを用い解析を進めている。またRAS遺伝子変異を有する白血病細胞株とRAS遺伝子変異のない細胞株にPCDH17をshRNAでノックダウンし、細胞増殖及び増殖に関連するタンパク質のリン酸化について解析を進め、PCDH17の増殖に関する役割を解析中である。さらにRAS遺伝子変異を有する白血病細胞株とRAS遺伝子変異のない細胞株およびAGM細胞と共培養し得られたJMML幹細胞を用いMEK阻害剤とHDAC阻害剤との併用による効果を解析し、PCDH17の発現とその効果の関わりについて解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は今年度の研究を継続し、新たな治療ターゲットの探索を実施する。具体的にはJMML幹細胞でPCDH17遺伝子をノックダウンした細胞とコントロール細胞での遺伝子発現の違いについて次世代シークエンスを用いて網羅的遺伝子解析を行う。得られたデータの様々な遺伝子発現の違いからPCDH17の持つ増殖、分化に与える役割について検討を行う。さらに網羅的遺伝子解析で発現量の変化した遺伝子について、白血病細胞株、あるいは正常臍帯血を使用し、発現量の低下した遺伝子については過剰発現をさせ、発現量の上昇した遺伝子についてはshRNAでノックダウンをさせ、PCDH17を介するシグナル伝達について解析を行う。次にJMML幹細胞を使用し、それらの遺伝子の役割について検討を行う。また阻害剤があるものについては白血病細胞株、正常臍帯血、JMML幹細胞で検討を行う。
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Causes of Carryover |
今年度JMML幹細胞でPCDH17遺伝子をノックダウンした細胞とコントロール細胞での遺伝子発現の違いについて次世代シークエンスを用いて網羅的遺伝子解析を行う予定であったが、次年度へ繰り越したためで、次年度使用予定である。
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