2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K08758
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
横溝 智雅 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特定事業研究員 (80590314)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 / 発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、マウス胎仔期において、造血幹細胞を含む造血システムがどのように形成されるのかを明らかにすることを目的としており、具体的には以下の3つの問いに答えるべく研究を進めている。 ① 「胎生期の造血前駆細胞は造血幹細胞に由来するのか」Hlf-CreERT2トレーサーマウスを用いた細胞系譜追跡実験から、胎仔肝(胎生14日目)に存在する造血幹細胞と造血前駆細胞は、Hlf陽性の起源細胞からそれぞれ独立して発生していることが明らかとなった。さらに、Evi1+/-マウスの解析、およびEvi1-CreERT2トレーサーマウス(新規作製)を用いた細胞系譜追跡実験の結果もこの結論を支持するものであった。 ② 「胎生期の造血幹細胞は分化しているのか」Evi1-CreERT2トレーサーマウスを用いた細胞系譜追跡実験からは、胎生後期の造血幹細胞が造血前駆細胞へと分化している様子は観察されなかった。①と②の結果は、胎生期の血液細胞の大部分は造血幹細胞由来ではないことを強く示唆している。 ③ 「造血幹細胞への運命決定は転写因子Evi1の量依存的なのか」Evi1+/-マウスは、Evi1強陽性細胞を欠損している。この性質を利用し、Evi1の発現量と造血幹細胞形成の関係についての検討をおこなった。Evi1+/-マウスでは、造血幹細胞特異的な減少が観察された。さらに、Evi1の強制発現系(ROSA-Evi1マウス:新規作製)を利用し、血管内皮細胞でEvi1を発現させたところ、造血幹細胞産生の増加が見られた。これらの結果は、Evi1の発現の高い起源細胞が造血幹細胞の産生に関与していることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画は、3つの課題、① 胎生期の造血前駆細胞は造血幹細胞に由来するのか、② 胎生期の造血幹細胞は分化しているのか、③ 造血幹細胞への運命決定は転写因子Evi1の量依存的なのか、で構成されているが、当初の計画通り①②の課題をほぼ終えている。③については、Evi1の強制発現系(ROSA-Evi1マウス)の解析が進んでおり、ROSA-tdTomato/YFP dual reporterを用いた解析も並行して進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね順調に進行しており、今後も当初の計画に沿って進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスの作製が、先端モデル動物支援プラットフォーム(AdAMS)からの支援によりおこなうことができたことで、当初計上していた作製費用分の差額が生じた。この差額分については、別の遺伝子改変マウスの作製費用としての使用を計画している。
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[Journal Article] RUNX1-ETO (RUNX1-RUNX1T1) induces myeloid leukemia in mice in an age-dependent manner2021
Author(s)
Abdallah MG, Niibori-Nambu A, Morii M, Yokomizo T, Yokomizo T, Ideue T, Kubota S, Teoh VSI, Mok MMH, Wang CQ, Omar AA, Tokunaga K, Iwanaga E, Matsuoka M, Asou N, Nakagata N, Araki K, AboElenin M, Madboly SH, Sashida G, Osato M
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Journal Title
Leukemia
Volume: 35
Pages: 2983~2988
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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