2021 Fiscal Year Research-status Report
ベーチェット病におけるHLA-B51とCD8陽性T細胞の関連についての検討
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20K08771
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Research Institution | Kobe City Medical Center General Hospital(First Clinical Division, Second Clinical Division, Third |
Principal Investigator |
住友 秀次 地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター中央市民病院(第1診療部、第2診療部、第3診療部, 中央市民病院, 医長 (20392996)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ベーチェット病 / トランスクリプトーム解析 / HLA-B51 / パスウェイ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、ベーチェット病(Behcet’s syndrome; BS)患者23人と健常人28人の末梢血20分画(好中球を含む)のフローサイトメーターとトランスクリプトームデータの解析結果をまとめた。BSおよびBSの臨床的特徴に関連する遺伝子を同定するために、加重遺伝子共発現ネットワーク解析(WGCNA)を実施した。 また、eQTLデータベースを使用して、BSの遺伝的リスク因子とそれらの遺伝子との関係を評価した。 BS患者ではTh17細胞が増加しており、mRNA発現解析ではBS患者のTh17細胞ではNFkB経路が活性化していた。WGCNAでは、抗原提示細胞の遺伝子群がBSと関連しており、パスウェイ経路ではBS患者で骨髄系樹状細胞をはじめとする抗原提示細胞の活性化を認めた。BSに関連する形質細胞様樹状細胞(pDC)遺伝子群にあるYBX3は、pDCのBSリスク多型の影響を受け、YBX3がBSの遺伝的リスク因子と病因を関連付ける可能性が考えられた。さらに、BSと最も強く関連する遺伝因子であるHLA-B51陽性とメモリーCD8陽性T細胞のIL-17 signature との関連が明らかにされ、IL-17産生CD8陽性T細胞 (T cytotoxic 17; Tc17)がBSにおいて重要な役割を果たす可能性が示唆された。Tc17細胞とYBX3は、BSの潜在的な治療標的となる可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度はin silicoでの遺伝子解析、論文作成に労力を要し、in vitroの実験による証明を行うことができておらず、予定より遅れがみられている。
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Strategy for Future Research Activity |
eQTL解析を行うことで、BSリスクSNPがeQTL効果をもつ遺伝子YBX3が抽出された。この情報をもとに、in vitro 実験での確認ができるかを検討する。また、フローサイトメーターで、BS患者の抗原提示細胞が活性化しているか、Tc17細胞比率などを確認する。Naive CD4 T細胞のTh17分化と関連するケモカインがTc17分化に関与するかの検討を行う。in silicoでの解析として、TCRレパトワ解析を検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度はin silicoの研究が主となりin vitro実験を行わなかったため、繰越金が発生したが、2021年度は実験環境が整い、フローサイトメーターの染色抗体や、解析ソフトウエア(FlowJo)、生物顕微鏡、追加のRNAシークエンス解析など、研究を推進するための購入を行い、繰越金と2021年度予算は積極的に使用された。ただ、Covid-19の流行により、学会はすべてオンラインで参加したため、旅費は発生しなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度は、引き続きフローサイトメーターの染色抗体やメディウム類、ソフトウエア類に対して研究費を使用する計画としている。
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