2021 Fiscal Year Research-status Report
腸管神経系と免疫系の相互作用による全身性エリテマトーデスの病態制御機構の解明
Project/Area Number |
20K08779
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
大和田 高義 獨協医科大学, 医学部, 講師 (30456016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有馬 雅史 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00202763)
幡野 雅彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20208523)
倉沢 和宏 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30282479)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 全身性エリテマトーデス |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性エリテマトーデス(SLE)など自己免疫疾患においても腸内細菌叢の不均衡(dysbiosis)による免疫機構の異常が深く関与することが考えられている.しかし,その病理的意義は十分に明らかでない.代表者らは神経堤細胞に特異的に発現するホメオボックス遺伝子Ncxのノックアウト(KO)マウスの腸管で一酸化窒素(NO)産生神経の増加に伴う腸内細菌叢のdysbiosisおよび炎症性腸疾患が誘導されることに着目した.2021年度は,T細胞受容体刺激伝達分子ZAP-70の点変異により潜在的に自己反応性T細胞を有するSKGマウスの遺伝子型をバックグラウンドとするNcx-KoマウスのSLEモデル解析を行った.SLEモデルはImiquimodを経皮的投与により作製した.その機序は,過剰TLR7シグナルによる形質細胞様樹状細胞(pDC)の抗原提示能やIL-6およびI型IFNの産生亢進がポリクローナルなB細胞の活性化・増殖を促進することにより自己抗体産生を伴うSLE様の病態が形成されると考えられている.当該年の研究結果は以下の通りである.Ncxの欠損により,11)血清中抗dsDNA抗体の低下傾向を認めたが有意ではなかった.2) Ncx-Koマウスにおいて尿中蛋白(アルブミン)の増加を認めた. 3) Ncx-Koマウスにおいて各臓器中のCD4陽性T細胞のmRNA発現の解析で種々の炎症性サイトカインの増加を認めた.以上より,SLEなど自己免疫疾患においてdysbiosisはCD4陽性T細胞の機能異常に関与し,その病態メカニズムNcxが深く関わる可能性が示唆された.現在,同モデルにおけるループス様腎炎について解析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画の予定通りに研究を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
ループス様腎炎に対する腸内細菌叢-粘膜系-全身系免疫ネットワークに対するNOSのタイプ別(神経型nNOS,血管内皮型eNOS,炎症などにより誘導されるiNOS)機能を明らかにするため,各マウスに対して各NOS阻害剤(nNOS阻害剤:L-NPA,iNOS阻害剤:1400w,iNOS阻害剤:L-NIO)をそれぞれ投与して前年度と同様に腎炎について解析し,NO合成制御の臨床的意義を検討する.
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