2022 Fiscal Year Annual Research Report
性ホルモンは経皮感作能を制御し、接触皮膚炎や食物アレルギーの発症に関与する
Project/Area Number |
20K08780
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
片桐 一元 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00204420)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エストロゲン / 接触皮膚炎 / ハプテン / アトピー性皮膚炎 / アナフィラキシー |
Outline of Annual Research Achievements |
卵白アルブミンの経皮感作によるアトピー性皮膚炎モデルにおいて、卵白アルブミンの傾向投与によりアナフィラキシー反応を誘導したところ、対照群と比較して、エストロゲン投与群において、体温低下が顕著であり、高度なアナフィラキシー反応が誘導された。 3年間の研究期間に以下のことを明らかにした。 女性ホルモン、中でもエストロゲンが接触皮膚炎やアトピー性皮膚炎などの皮膚症状に強い影響を及ぼすことが推測されているが、そのメカニズムは不明である。本研究により、エストロゲンが接触皮膚炎の感作相を増強するが、惹起相への影響は原因物質により異なり、IL-4の産生抑制と関連して抑制する場合と抑制しない場合があることが明らかとなった。また、卵白アルブミンを用いたアトピー性皮膚炎モデルではエストロゲンが炎症を抑制したが、アナフィラキシー反応を増強した。 本研究の意義について 代表的皮膚疾患である接触皮膚炎とアトピー性皮膚炎に及ぼすエストロゲンの影響を明らかにした。接触皮膚炎の感作相への増強作用は、接触皮膚炎が女性に多いことを反映し、その頻度が原因物質により異なることと一致している。また、アトピー性皮膚炎へのエストロゲンの炎症抑制作用は重症患者が男性に多く、女性に少ないことを反映し、同時に観察されたアナフィラキシー反応の増強作用は、アナフィラキシー反応が女性に多いことと関連している。これらのメカニズムを明らかにすることは、実臨床において生じている現象を理解しやすくするだけでなく、発症や重症化の予防に役立つと考える。
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