2023 Fiscal Year Research-status Report
単球の細胞外トラップス形成とPAD4制御による、 関節リウマチの発症予防戦略
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20K08783
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
岡本 祐子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30723043)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 関節リウマチ / 単球細胞外トラップス / シトルリン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究代表者は、抗CCP抗体陽性関節リウマチ(RA)発症ハイリスク者の末梢血単球において、Toll-like受容体刺激によるPAD4を介した単球細胞外トラップス形成と炎症性サイトカイン産生が亢進していることを見出した。本研究では、末梢血単球細胞外トラップス形成の分子メカニズム、細胞内メタボリズム、更にPAD4遺伝子多型との関連を明らかにし、RA発症予防に寄与する新規標的分子を同定することを目的とする。 RA患者に特異的に認められる抗CCP抗体は、シトルリン化抗原を認識する。その蛋白のシトルリン化を触媒する酵素である、PAD4が単球細胞外トラップス形成とTNFαをはじめとする炎症性サイトカイン産生に関連することに着目して検討を実施した。血中抗CCP抗体陽性だが臨床的な関節炎のないRA発症ハイリスク者、早期RA患者、健常人の末梢血から単球を分離し、刺激後にヒストンH3のシトルリン化、サイトカイン産生、単球細胞外トラップス形成を測定した。健常人に関しては、RAの遺伝リスクであるPAD4の一塩基変異を2つ保有する健常人(T/T)と保有しない健常人(C/C)の差異について注目して検討した。 結果、PAD4の一塩基変異を2つ保有する健常人は、保有しない健常人と比較し、有意に高頻度の単球細胞外トラップス形成が認められることを確認した。また、炎症性サイトカインが単球細胞外トラップス形成の促成因子として作用することも見出した。分子機序の探索のため、刺激後単球の網羅的mRNAシークエンスを実施したが、単球細胞外トラップス形成に関連する因子の同定は困難であった。マスサイトメトリーを用いて、抗CCP抗体陽性RAハイリスク者の末梢血のプロファイルを検討したが単球には有意な差異は認められなかった。シングルセル解析を追加し、単球の差異の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNAシーケンスの条件設定に時間を有したため、実際の予定より遅れを認めている。また、RNAシーケンスで有意な結果が得られなかったため、当初の予定を変更して、マスサイトメトリー、シングルセル解析を追加し検討を行っているため遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗CCP抗体陽性関節リウマチ未発症者の末梢血単核細胞のシングルセル解析を実施し、関節リウマチ発症に関連した単球変化の同定を検討する。
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Causes of Carryover |
2023年度にAcceptされた論文掲載費用の支出が2024年度となったため。
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