2023 Fiscal Year Research-status Report
サンゴアレルギー発症とサンゴ由来蛍光蛋白質の関係解明とアレルギー診断技術への展開
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20K08787
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
加藤 祐子 長崎国際大学, 薬学部, 薬学部薬学研究センター訪問研究員 (40301676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 義史 長崎国際大学, 薬学部, 教授 (50274478)
河本 正次 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 教授 (90294537)
塩路 幸生 福岡大学, 理学部, 准教授 (80291839)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 赤色蛍光タンパク質(RFP) / Akane3(抗原) / DsRed-Express(抗原) / Elisa Inhibittion 法 / アレルギー反応 / サンゴアレルギー患者血清 / エピトープ(抗原決定基) / Safety Akane作成 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本研究は、漁業従事者に重篤なアレルギーを惹起する原因物質が、サンゴ由来Akane 蛍光蛋白質であること更に、他の赤色蛍光蛋白質 [DsRed-Express] も、本サンゴアレルギー患者血清 IgEとの抗原-抗体反応を呈するか否かを各種方法で解明した。 (2)2023 年度に行った実験とその研究結果 1)ELISA法; 遺伝子組換え体 [Akane3]および[DsRed-Express]は、サンゴアレルギー患者血清抗体(Ig E)との反応で, 陽性反応を示した。 2)ELISA Inhibition法;[Akane3]および [DsRed-Express]を、サンゴアレルギー患者血清抗体(Ig E)で濃度依存的に阻害をかけ、それを抗体として、プレートにコートした[Akane3]と、抗原-抗体反応をおこない、濃度依存的に阻害がかかったので、[Akane3]、及び[DsRed-Express]の抗原性を明らかにした。 3)この[Akane3]は、蛍光波長が Em 642 nm の赤色蛍光を発しており、天然型蛍光蛋白質 Akaneの蛍光波長 Em 640 nmと同じ蛍光特性を示している。 これら実験結果を世界で初めて明らかにしたので、[World Allergy Congress 2023] 国際学会(Bangkok,2023 Dec.1-3) で発表し、内容について評価を頂き表彰された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「本研究課題の進捗状況について」 本研究は2020年4月に採択されたが、丁度その時期にコロナ感染が広がり感染対策のために、大学への入構の制限が行われ、 2020年4月~2022年春ころまで研究・実験の実施や研究分担者の大学への交流が困難であった。2022年後半ころからは徐々に緩和されてきたので、当初予定した 実験実施や大学間の往来が可能となり研究は進んだ。現在は長崎国際大学薬学部において、研究の当初目的である、漁業従事者にアレルギーを起こす、天然型サンゴ由来Akane 蛋白質が、こ のアレルギーを引き起こすアレルゲンであることを決定し、さらに遺伝子組換え型Akane 3蛋白質もアレルゲンであることが判明した。2023年は研究をさらに進めて、多方面で汎用されている、赤色蛍光タンパク質である[DsRed-Express]にもアレルゲン性をみいだすことができた。 2024年度は研究期間の延長を申請して認めて頂いたので、これらアレルゲンのエピトープ部位を決めていき、[Safety-Akane] を作成し、大学や社会に提供していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究結果と今後の研究の目的
2023年度まで実施してきた研究から、RFP(赤色蛍光蛋白質) [Akane3], 及び [DsRed-Express]は、サンゴアレルギー患者血清 IgEとの抗原-抗体反応を呈してアレルゲン性をもつことが判明した。 この2種のRFPのアミノ酸全配列では55%以上の相同性をもつことから、この共通配列の中に抗原決定基である、エピトープ(アレルギーを起こす特異的活性部位)が存在すると考えて、そのエピトープ部位を決めていく。そのエピトープ部の遺伝子を削除した [Safety Akane] を作成し、大学や社会に提供していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由 2020年度に採択された本研究は、2020~2021年度にコロナ流行が多発して、学内への入構の制限なども続き、研究がかなり遅れていた。2024年2月に1年間の研究延長願いが承認されたので、これから2024年4月~2025年3月に行う研究費用として、次年度への繰り越しを行った。 2024年度の研究費は主に、これまでの研究で解明したサンゴアレルゲンのエピトープ部分を決定するため、試薬や器具などを購入していく。
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