2020 Fiscal Year Research-status Report
気道ウイルス感染時のヒト肺血管内皮細胞における新規IL-33産生機構の解明
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20K08789
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
杉江 真以子 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 免疫アレルギー・感染研究部, 研究員 (90724336)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | IL-33 / 気管支喘息 / ウイルス感染 / 血管内皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)細胞死とIL-33産生誘導機序の解明 : 気管支喘息発症や増悪に決定的なサイトカインIL-33は定説では細胞内に恒常的に発現した蛋白が細胞傷害(ネクローシス)により放出され機能すると考えられている。しかしながら、定説と異なり、肺微小血管内皮細胞ではウイルス由来dsRNAアナログ(polyI:C)刺激後、TLR3を介する新規機序でIL-33mRNA発現を誘導することを報告した。細胞上清中に存在するIL-33誘導因子は液性成分かそれとも細胞成分かを検討するため、細胞上清のみと細胞成分を含んだ条件でのIL-33誘導活性を検討した。さらにpolyI:C刺激後の肺微小血管内皮細胞とマクロファージ(U937)を共培養し、細胞成分を取り除くことでIL-33誘導活性を検討した。以上のことから、polyI:C刺激後に細胞外に放出する因子がIL-33誘導に関与していることを明らかにした。 2)インフルエンザウイルス感染とIL-33産生誘導: インフルエンザウイルス(H1N1)は、国立感染症研究所 感染病理部より譲渡して頂き、成育医療研究センター研究所にてウイルス価測定の系を立ち上げた。インフルエンザウイルスH1N1の吸着は無血清条件で行うが、内皮細胞は血清依存性が高いため、内皮細胞が細胞傷害を起こさない感染条件を予備検討した。 今後は細胞死とIL-33産生との関連を検討すると共に、H1N1感染後の肺微小血管内皮細胞のIL-33産生誘導を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿って研究を実施しており、順調に結果が出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画書に記載された手順に従い、ネクローシスを起こした細胞成分によりIL-33誘導の検討及び、細胞死がIL-33産生誘導に関与しているかを検討する予定である。またインフルエンザウイルス感染実験については、肺微小血管内皮細胞と気道上皮細胞への直接感染実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
実験は予備検討も含め全て順調に進んでいるが、本実験にあたってELISAの測定は一度にassayした方がばらつきが少ないと考えられる。しかしながらELISA kitには使用期限があるため、購入を次年度に回して使用することにした。この次年度の使用によって研究の進捗に何ら影響はない。 また今年度は、日常的な実験で消耗する試薬類(細胞培養用培地、核酸抽出キットなど)や機能解析のための抗体、試薬キット、さらには学会での研究成果発表のための旅費、英文校正費の諸費用に研究費を使わせていただく予定である。
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