2022 Fiscal Year Annual Research Report
NR4A2を介した自己反応性T細胞の制御によるシェーグレン症候群の治療戦略
Project/Area Number |
20K08795
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
高橋 広行 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 膠原病科 医師 (10770745)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シェーグレン症候群 / ヒドロキシクロロキン |
Outline of Annual Research Achievements |
シェーグレン症候群(SS)モデルマウスであるT細胞特異的RORγtトランスジェニックマウス(RORγt-Tg)を用い、NR4A2アゴニストの唾液腺炎に対する治療効果の検討を行った。NR4A2アゴニストとしてアモジアキン(AQ)、ヒドロキシクロロキン(HCQ)を用いた。治療群はAQ(50mg/kg)あるいはHCQ(40mg/kg)を、コントロール群はそれぞれの治療群と等量のリン酸緩衝生理食塩水を3日毎にRORγt-Tg(6週齢)へ腹腔内投与し、投与開始2週後に顎下腺、リンパ組織を摘出した。AQ投与群あるいはHCQ投与群の顎下腺組織において導管周囲へのリンパ球浸潤を認め、その程度(focus score)はそれぞれコントロール群と同等であった。また、顎下腺、頸部リンパ節、脾臓のCD4+T細胞におけるFoxp3のmRNA発現を定量PCRによりAQ投与群あるいはHCQ投与群とそれぞれのコントロール群とで比較したところ、有意差はなかった。以上より、AQ、HCQ腹腔内投与による制御性T細胞増加の誘導、唾液腺炎への治療効果は明らかにならなかった。 さらに、実臨床におけるHCQ有効例の特徴を明らかにするため、国立国際医療研究センター病院膠原病科において2016年3月から2021年9月までにHCQが新規導入された維持治療中の全身性エリテマトーデス患者(n=45)を対象とし、多変量ロジスティック回帰分析によりHCQ導入後3か月時点の有効性予測因子を検討した。HCQ導入時のPSL用量(オッズ比(OR)0.65(1mg/日増加毎))、CRP(OR 15.49(1mg/dL上昇毎))、抗SS-A抗体(OR 0.07)がHCQ有効性予測因子として有意に抽出された。以上より、HCQ有効性は、抗SS-A抗体存在下で獲得しにくく、CRP上昇を伴う炎症を主体とした病態でより高い可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)