2020 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫疾患に対する新規T細胞選択的共刺激調節薬の開発
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20K08806
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 勝也 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70306695)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 全身性自己免疫疾患 / T細胞 / 抑制性免疫チェックポイント分子 / 末梢性ヘルパーT細胞 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性自己免疫疾患では、自己と非自己を区別する免疫寛容が何らかの原因で破綻している状態にあると考えられている。免疫寛容には中枢性と末梢性があるとされ、胸腺あるいは末梢組織においてT細胞の活性化は免疫系により厳密な制御を受けている。T細胞は抗原提示細胞上の抗原を特異的に認識するとともに免疫チェックポイント分子からの補助シグナルにより正負の調節を受けている。免疫寛容に関わる制御性T細胞や免疫チェックポイント分子の全身性自己免疫疾患における異常の解明をさらに進め、異常活性化T細胞や制御性T細胞を標的とした病態のより上流で免疫寛容の破綻状態を回復させる治療法の確立にむけた研究こそが、根本的な全身性自己免疫疾患の制御に不可欠である。本研究課題では、研究代表者らの開発した自己反応性活性化T細胞および制御性T細胞上に発現する抑制性免疫チェックポイント分子を標的とした新規T細胞選択的共刺激分子調節薬の有効性に関して、ヒトT細胞およびB細胞を用いた評価および研究代表者らの開発した抑制性免疫チェックポイント分子ノックイン動物モデルを用いた検証を行い、全身性自己免疫疾患の新たな画期的な治療法の確立を目指している。初年度は末梢血からT細胞亜分画を分離し、本抗体による増殖抑制がTIGIT発現量依存的および抗体濃度依存的に認められるかをまず明らかにした。また、培養上清中のサイトカイン等の濃度をELISAにて測定した。TfhとNaive B細胞を共培養後、B細胞表面マーカーのFACSによる解析と培養上清中のIL-21濃度をELISAにて測定した。現在、in vitoの詳細検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗ヒトTIGITアゴニスト抗体は独自に作成した。健常人末梢血T細胞の検討では、TIGIT発現量依存的に本抗体の増殖抑制が認められ、B細胞の形質芽球(抗体産生細胞前駆体)への分化誘導の抑制も認められた。コラーゲン誘導性関節炎(CIA)マウスならびに自己免疫性腎炎モデルマウスを用いたin vivo実験による検証を実施中である。
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Strategy for Future Research Activity |
in vivo実験による検証を進めるとともに、本抗体のヒト化および最適化を行い、臨床試験の早期開始を目指して準備する。
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