2020 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージ異常活性化経路の解析による多発筋炎/皮膚筋炎の新規治療標的分子同定
Project/Area Number |
20K08810
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
勝又 康弘 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60349719)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内科 / 膠原病 / 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究応募者らは、多発筋炎・皮膚筋炎および合併する間質性肺炎において、マクロファージ異常活性化が生じていることを一連の論文で報告してきたが、その細胞内シグナル伝達機序は解明されていない。本研究の目的は、cGAS-STING経路やRIG-I様受容体経路がそこに関与していることを証明し、新規治療標的分子を同定することである。レポーター細胞株を用いて、多発筋炎・皮膚筋炎患者保存血清中の、①I型IFN活性評価、②I型IFN誘導活性評価、③IFN誘導活性化へのcGAS-STING経路の関与評価、④IFN誘導活性化へのRIG-IやMDA5の関与の評価、および⑤患者血清中に存在するSTINGないしRIG-IやMDA5のアゴニストの検出・同定、を行う。ノックアウトを含む様々なレポーター細胞株に患者血清を添加して、IFN誘導活性経路やNF-κB経路を評価するという新規の手法で、収集済の200超の多数の検体を検討することができる。病態解明が進み、新規治療標的分子の同定に寄与すると期待される。 既報の全身性エリテマトーデスの研究では、患者保存血清をレポーター細胞株に添加し、cGAS-STING経路を介したI型IFN産生誘導能があることを示すことによって、細胞側の要因ではなく、血清中の要因が鍵となっていることを示した。 当該年度は、この全身性エリテマトーデスの実験について、当研究室でも再現性を確認した。 また、多発筋炎・皮膚筋炎患者血清を、IFN regulatory factorの活性化に応じてSEAPを産生するTHP1-Blue ISG Cellsというヒト単球系のレポーター細胞株に添加したところ、インターフェロン(IFN)誘導活性の上昇が認められた。 また、複数のレボーター細胞を導入し、それらを刺激する最適条件を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で、実験の遂行や、研究補助員の業務が制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で計画している今後の研究の推進方策は、①レポーター細胞株を用いた、多発筋炎・皮膚筋炎患者保存血清中のI型インターフェロン(IFN)濃度評価、②レポーター細胞株を用いた、多発筋炎・皮膚筋炎患者保存血清中のI型IFN誘導活性評価、③ノックアウト(KO)レポーター細胞を用いた、IFN誘導活性化へのcyclic guanosine monophosphate (GMP)-AMP synthase (cGAS)とstimulator of interferon genes (STING)を介した経路の関与の評価、④KOレポーター細胞を用いた、IFN誘導活性化へのRIG-I (retinoic acid-inducible gene I)やMDA5(melanoma differentiation associated gene 5)などのRIG-I様受容体関与の評価、⑤患者血清中に存在する、STINGないしRIG-I様受容体のアゴニストの検出・同定、である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、実験の遂行や、研究補助員の業務が制限されたため、当初予定していた通りの実験ができず、結果として、次年度使用額が生じた。 この資金と、翌年度分として請求した助成金と合わせて、本来、今年度に行う予定であった研究計画の残り分と、次年度の研究計画を遂行する予定である。
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