2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mastcell/basophil activation mechanism in chronic spontaneous urticaria
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20K08811
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡山 吉道 日本大学, 医学部, 准教授 (80292605)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性特発性蕁麻疹 / アトピー性皮膚炎 / 脂質メディエーター / 好塩基球 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性特発性蕁麻疹(CSU)患者67人, 健常人(non-atopic healthy control ; NC)27人の血漿から, 固相抽出法で酸化脂肪酸を抽出し, 液体クロマトグラフィー質量分析計を用いて解析した。好塩基球活性化試験(BAT)を用いて脂質の好塩基球の活性化能を評価した。CSU患者群においてアラキドン酸代謝物の5-hydroxyeicosatetraenoic acid(HETE)とleukotrien (LT)C4およびLTE4がNCと比較して有意に高値であった。エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の代謝物では5-hydroxyeicosapentaenoic acid(HEPE),protectin (PD)1, resolvin(Rv)D2などがNCと比較して有意に高値であった。5-HETEは、末梢血好塩基球数とも有意な正の相関を示した。5-HETEの好塩基球への添加によりIgE依存性の好塩基球の活性化が増強された。重症度とは12-HETEおよび12-HEPEが負の相関関係を示した。 アトピー性皮膚炎(AD)患者31人, NC36人を対象に同様の検討を行った。AD患者群においては, アラキドン酸代謝物ではthromboxane(TX)B2がNCと比較して有意に高値であった。一方, prostaglandin(PG)D2, PGF2α, 5-oxo-eicosatetraenoic acid(ETE),lipoxin(LX)A4, LXB4, 8-HETEはNCと比較して有意に低値であった。エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸の代謝物ではAD患者群において全体的に脂質メディエーターは低い傾向にあったが, RvD2のみがNC群よりも有意に高値であった。ADにおいては炎症・抗炎症脂質メディエーターのバランスの破綻が病態に関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
慢性特発性蕁麻疹(CSU)患者, アトピー性皮膚炎(AD)患者および健常人の血漿中の脂質メディエーターの網羅的比較解析は終了し, 各疾患の特徴的な脂質メディエーターのプロファイルは同定できた。また,各疾患の重症度と統計学的有意な相関をもつ脂質メディエーターも同定された。現在はそれら特異的脂質メディエーターの各疾患での病態への関与に関してin vitroの実験系で解析を進めている。例えば5-hydroxyeicosatetraenoic acid(HETE)の好塩基球への添加によりIgE依存性の好塩基球の活性化が増強され,さらに5-HETEはCSU患者において統計学的有意に増加を認めたため, 5-HETEの好塩基球の活性化への関与が示唆された。 AD患者血漿中で検出された脂質メディエーターについて病態との関連を検討したところ, lipoxin(LX)A4と12-hydroxyeicosapentaenoic acid(HEPE)はADの重症度と有意な負の相関関係を認めた。LXA4に関しては,血清IgE値と有意に相関していた。すなわちLXA4の血漿中の濃度が低い程, 血清IgE値は高く, ADは重症であることが明らかになった。LXA4が ADの重症度を反映するバイオマーカーとなる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性特発性蕁麻疹(CSU)患者の重症度と12-hydroxyeicosatetraenoic acid(HETE)および12-hydroxyeicosapentaenoic acid(HEPE)が負の相関関係を示したため今後12-HETEと12-HEPEのCSUの病態への関与に関して解析を進めていく。特に好塩基球に対する効果を調べる。 MC903を用いたアトピー性皮膚炎モデルマウスを作製したところ炎症局所においてresolvin(Rv)D2の濃度が統計学的有意に上昇していた。また、in vitro実験でヒト上皮細胞を用いたスクラッチテストを施行しRvD2を添加したところ修復を有意に促進しためRvD2のADの病態における役割をアトピー性皮膚炎モデルマウスを用いて検討する。さらにLXA4のADの病態における役割をアトピー性皮膚炎モデルマウスを用いて検討する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた試薬がCOVID-19感染パンデミックの影響によって米国から輸入ができなくなったため。次年度使用額が生じた。繰越金は、ヒトマスト細胞の培養のための培地を購入する。
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[Presentation] リピドミクスを用いたアトピー性皮膚炎患者の脂質プロファイルの解析2021
Author(s)
田杭真帆, 豊島翔太, 三木寿美, 伊東真奈, 武富芳隆, 葉山惟大, 坂本朋美, 村上誠, 藤田秀樹, 照井正, 岡山吉道
Organizer
第70回日本アレルギー学会学術大会
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[Presentation] 慢性突発性蕁麻疹患者血漿中の脂質メディエーターの病態への関与2021
Author(s)
伊東真奈, 田杭真帆, 遠藤嵩大, 豊島翔太, 三木寿美, 武富芳隆, 葉山惟大, 坂本朋美, 村上誠, 照井正, 藤田秀樹, 岡山吉道
Organizer
第70回日本アレルギー学会学術大会
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