2022 Fiscal Year Annual Research Report
Circulating monocytes in contributing to myocardial involvement of systemic sclerosis
Project/Area Number |
20K08812
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
桑名 正隆 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (50245479)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / バイオインフォマティクス / 心筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性強皮症(SSc)における心病変は主要な予後因子であるが、その病態として微小血管の攣縮に起因した虚血・再潅流傷害、その修復過程における心筋の線維化が病態の中心であることが示唆されている。ただし、患者心筋検体を用いた包括的な分子病態解析は実施されてない。そこで、2013年米国・欧州リウマチ学会による分類基準を満たすSSc患者のうち、SScに伴う心病変を有し、心不全の精査目的に経カテーテル的心筋生検が実施された例を疾患群とした。対照群として拡張型心筋症(DCM)の連続症例を利用した。心筋の残余検体を用いてRNAシーケンスを実施し、心筋遺伝子発現状況を二群間で比較・解析した。心病変を伴うSSc患者4例、DCM患者4例が心筋遺伝子解析の対象者となった。SSc、DCMともに全例がNYHA分類Ⅱ度以上の心不全を有し、SSc全例で心臓MRIでの異常が認められた。約2万の蛋白コード遺伝子のうち二群間の発現変動があった遺伝子をパスウェイ解析したところ、脂肪酸β酸化、TCA回路といった心筋エネルギー代謝に関連したパスウェイや、アポトーシス誘導分子であるGranzyme A signalingに活性化がみられた。発現変動遺伝子を制御する上流因子解析では炎症性サイトカインIL-1βに活性化がみられ、下流の生物学的機能へ与える影響の検討では、微小管や細胞骨格の機能抑制がみられた。一方で、心筋組織中に含まれるマクロファージやリンパ球等の免疫担当細胞量の推計では、SSc、DCMの二群間で明らかな構成比に違いは見られなかった。以上からSSc心筋ではDCMとは異なる心筋分子病態が示唆された。
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Research Products
(1 results)