2023 Fiscal Year Research-status Report
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症における疾患特異的マーカーの検出とその人種別評価
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20K08813
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
唐澤 里江 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 准教授 (50434410)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抗血管内皮細胞抗体 / 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 / 喘息患者由来ヒト肺微小血管内皮細胞 / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
喘息患者由来ヒト肺微小血管内皮細胞(HLMVEC-AS)からの抽出蛋白と好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)患者血清を用いた二次元電気泳動とウエスタンブロッティングを用いて、抗好中球細胞質抗体(ANCA)陰性EGPAにおける抗血管内皮細胞抗体(AECA)の対応抗原候補蛋白を検出・同定した。ウエスタンブロッティングにて、ANCA陽性EGPA患者および健常人では染色されずANCA陰性EGPA患者のみで染色された34個のタンパク質スポットが検出された。そのうち濃染された8個のタンパク質スポットから同定された582個のタンパク質には、細胞質タンパク質が67%、核タンパク質が18%、細胞膜タンパク質が9%、細胞外タンパク質が4%含まれていた。さらにパスウェイ解析では、同定されたタンパク質は主に好中球の脱顆粒に関連していた。次に同定されたタンパク質の解析の優先順位をつける目的で、二次元電気泳動とウエスタンブロッティングで用いたANCA陰性EGPA患者血清もしくは健常人血清で血管内皮細胞を刺激して、ショットガンプロテオミクスを用いて刺激後の血管内皮細胞中のタンパク質を網羅的に同定し、両群間での比較定量解析を行った。その結果、ANCA陰性EGPA患者血清刺激で有意に検出されたタンパク質が615個、健常人血清刺激で有意に検出されたタンパク質が1038個、両者で認められたタンパク質が4775個検出された。またANCA陰性EGPA患者血清刺激で有意に検出されたタンパク質には、TGF-βシグナル経路やVEGFA/VEGFR2シグナル経路に関連した細胞膜タンパク質が含まれていた。さらに、ANCA陰性EGPA患者血清刺激で有意に検出されたタンパク質とANCA陰性EGPAにおけるAECAの対応抗原候補タンパク質の両者に共通した細胞膜タンパク質が3個同定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解析機器の故障および物品の納期に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
同定された細胞膜タンパク質に対する個々の自己抗体が、ANCA陰性EGPAもしくはEGPAに特異的であるか否かをELISAにて評価する。さらにそれらの自己抗体とEGPAの疾患活動性やフェノタイプとの関連性および血管傷害との関連性について検討する。
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Causes of Carryover |
解析機器の故障および物品の納期に時間を要し、研究に遅れが生じたため。組み換えタンパク質や試薬の購入、論文等の成果発表に使用する予定である。
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