2021 Fiscal Year Research-status Report
ヘルパーT細胞におけるエピゲノム記憶の人為的修復によるSLE新規治療戦略の創出
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20K08815
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
中山田 真吾 産業医科大学, 医学部, 准教授 (60389426)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 濾胞制御性ヘルパーT細胞 / 濾胞性ヘルパーT細胞 / サイトカイン / エピジェネティクス / ジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、SLE患者末梢血におけるCD4+CXCR5+Foxp3-PD-1hi Tfh細胞の増加とCD4+CXCR5+CD45RA-Foxp3hi活性化Tfr細胞の減少がIL-2の減少により生ずることを見出した。さらに、in vitroの検討により、IL-2を介したSTAT3とSTAT5の活性化がFOXP3及びBCL6遺伝子座における抑制型ヒストンマーカーH3K27me3の抑制を誘導することでメモリーTfh細胞から機能的Tfr細胞への変換を誘導することをArthritis Rheumatology誌に報告した。今年度は、これらの起点となるIL-2の発現低下の機序をゲノム異常の観点から探求した。その結果、IL21 antisense RNA 1(IL21-AS1)に存在する一塩基多型(SNP)rs62324212は、全身性エリテマトーデス(SLE)に関連する遺伝子リスクバリアントとして同定され、Ensembl Genome Browserの解析により、rs62324212 (C>A)はIL21-AS1の予測エンハンサー領域に位置することが判明した。IL21-AS1はCD4+ TおよびB細胞の核内に発現していたが、SLE患者ではその発現が低下していた。興味深いことに、IL21-AS1の発現はIL-21ではなくIL-2のmRNAレベルと正の相関があり、活性化T濾胞制御(Tfr)細胞の割合と関連していた。さらに、SLE患者において、IL21-AS1発現と疾患活動性の間に有意な負の相関が認められた。以上より、IL21-AS1はSLEにおいてIL-2を介したTfr細胞の活性化に関与し、疾患活動性に影響を及ぼすものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りにデータ回収、解析、論文化が進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これらのゲノム異常に規定されたTfh細胞とTfr細胞の可塑性に関わるマスターレギュレーターを探索することで治療標的分子の同定を試みたい。
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Causes of Carryover |
注文していた試薬の納期が遅れたため、次年度に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)