2022 Fiscal Year Annual Research Report
ハイリスク患者に対する肺炎球菌ワクチンの理想的な接種プログラムの確立
Project/Area Number |
20K08817
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石和田 稔彦 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (30344980)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / 13価肺炎球菌結合型ワクチン / 免疫原性 / ハイリスク / オプソニン活性 / メモリーB細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、関節リウマチ加療中に、13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)接種を受けた患者を対象に、JAK阻害剤治療が、PCV13の特異免疫誘導に与える影響ついて検討を行った。その結果、JAK阻害剤単独ではPCV13接種による特異抗体上昇に影響はなかったが、メソトレキセート(MTX)を併用していると抗体上昇が悪い例が認められた。以上の結果から、PCV13接種前にはMTXの休薬等を検討する必要が示唆された。本研究の成果を学術雑誌に公表した。 コホート研究で得られた0歳~7歳までの経時的な保存血清検体を用い、PCV13に対する特異抗体の維持について、検討を行った。その結果、0歳~1歳での4回のPCV13接種により、PCV13に対する特異抗体価は7歳まで維持されることが明らかになった。現在、データをまとめて公表予定である。 この他、PCV13導入後、小児の侵襲性肺炎球菌感染症の原因菌として、急増している血清型24について、臨床的、細菌学的な解析を行った。血清型24は、PCV13接種の既往のある2歳未満の小児の菌血症症例から有意に多く分離されていること、その主体は血清型24B、24Fであり、これら血清型24は、MLST解析の結果、数種類のST型に分類されることから、国内で同一クローンを有する菌株が拡散していることが示唆された。研究結果は学術雑誌に公表した。 研究期間を通じた研究成果として、PCV13接種を行った6~64歳の血液腫瘍疾患患者のPCV13に対する免疫原性について、特異的IgG抗体・オプソニン活性(OPA)・血清型3型に対するメモリーB細胞数の測定を行い、PCV13の1回接種で、ワクチン含有血清型に対するIgG抗体・OPA・メモリーB細胞数いずれも上昇することを証明し、ハイリスク患者に対する理想的な接種プログラムについて提言することを可能とした。
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