2020 Fiscal Year Research-status Report
細胞内タンパク質分解に着目したデングウイルスワクチン開発のための基盤的研究
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20K08822
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
水上 修作 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (00508971)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デング熱 / ワクチン / 免疫 / 細胞性免疫 / タンパク質分解 / 抗原提示 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、デング熱に感染した抗原提示細胞及び肝臓などの標的細胞の細胞膜表面HLA(ヒト白血球抗原)に提示されるデングウイルス由来ペプチド(エピトープ)を、回収・解析する。この解析結果から、免疫活性化・防御免疫誘導に有効なエピトープ配列を見出し、ワクチン開発に寄与することを目指す。 研究計画の初年度に当たる当該年度は、解析を行うための各種準備を行った。 本研究では、細胞などのヒト由来検体を使用し、また、そのHLAという遺伝情報を使用する。そのため、長崎大学熱帯医学研究所倫理委員会及び、長崎大学ヒトゲノム・遺伝子解析倫理審査委員会への実験計画の申請を行った。 また、これと並行して使用する各種細胞の作製方法やエピトープの検出方法などについて、詳細決定を行った。細胞作製方法に関しては、実験に使用する主要な抗原提示細胞である樹状細胞とiPS細胞(及びここから誘導を行う肝細胞)の作製プロトコールを決定した。 エピトープ解析に関しては、エピトープの回収方法並びに使用するLC-MS(質量分析装置)と解析方法を決定した。 翌年度以降に、各種細胞を準備し、感染細胞のエピトープ解析を行うための、十分な準備が行えたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ヒト由来検体と遺伝情報を扱うため、法令・学内ルールなどコンプライアンスに注意を行って準備を進める必要が有る。 当該年度はそのため、各種の準備に終始した一年とはなったが、確かな進捗が認められた。 また、今後行う、デングウイルス感染実験及び細胞性免疫活性化試験は、先行研究で既に実施しており、各種細胞の準備が出来れば、問題無く実施できると考えている。 そのため、現行の進捗は「概ね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず各種細胞の作製に着手する。 なお、iPS細胞は、京都大学iPS研究所(CiRA)に受託での作製を依頼することとし、先方とは既に協議を開始している。また、これには、倫理審査・ヒトゲノム・遺伝子解析倫理審査に関わる計画変更が必要であり、既に準備を進めている。 この変更は手間を増やしたように映るが、結果的に、独自に作製するより高品質の細胞がより早期に準備できると考える。 細胞の準備が完了したのちに、これを用いた感染実験・免疫活性化実験及びエピトープ解析を行う予定である。 また、本計画ではマウス実験も予定している。実験の開始はまだ先の予定であるが、使用するマウスや実験プロトコールの確定は、その他の実験と並行して、早期に行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究室内で行う予定であった細胞作製の一部を、外部機関に委託することとしたため、 関連する各種申請等に時間を要し、細胞作製に関連する金額の執行が次年度に行われることとなった。 次年度は、この細胞作製が行われるため、そこに今回生じた次年度使用額が用いられる。
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