2022 Fiscal Year Research-status Report
TLR10の多様性に注目した胃がん発がん機構の解析
Project/Area Number |
20K08824
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
永島 裕之 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (90592840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 聡 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10588479)
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20244345) [Withdrawn]
白石 宗 札幌医科大学, 医学部, 助教 (70725168)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | TLR10 / LPS / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでTLR10はヒトに10あるTLRのうち、機能が判明していないTLRであると報告されていて、関連する感染症すら報告がない状態であった。しかし我々はHelicobater pylori(H. pylori)感染がTLR10と強い関係を示すことを発見した。以下の問を設定し研究を行っている。 1)H.pyloriの特異的なLPSの構造がTLR10に認識されるのではないか、2)TLR10のSNPによってH. pyloriの病原性に違いがあるのではないか。 これらの課題に対して今回の研究に対して以下の実績を得ている 1)TLR10のリガンドの解析を行った。大阪大学深瀬教授の研究室から合成Lipid Aを入手し、HEK-cellにTLR10を遺伝子導入し、NF-kBの活性を測定。H.pylori LPSで刺激することで、NF-kBの活性を認めた。TLR10のリガンドの構造解析で良好な結果を得た。さらに同様の構造を有するAkkermansiaで同様の結果が得られるかを解析している最中である。これまで不明とされていたTLR10のリガンドの構造パターンを決定づける結果が得られている。H.pyloriと類似の構造が。2) TLR10のSNPと胃粘膜のサイトカイン、病理組織変化に関する解析を行った。TLR10 SNPによって病理学的な炎症反応の違い、サイトカイン(IL-8等)の発現の違いがあるとの結果を得た。現在論文作成中となっている。 我々の研究はこれまで不明であったTLR10のリガンドを同定するという結果に加えて、同様の構造を有する菌は腸内細菌に多く認められることからも、腸内細菌と宿主の関係を解き明かす結果につながる研究と位置づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため研究を行える時間が十分確保できなかった。実際には臨床医として働きながらコロナ禍を経験したことで、腸内細菌と新型コロナ感染の後遺症に関する研究も行った。現在論文を作成中で、本研究課題についての進捗状況としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
腸内細菌に注目したLPSの構造とTLR10を介した宿主の認識機構を研究していく。腸内細菌に属する菌株が、どのように宿主に認識され、どのような反応を引き起こすかをTLR10を介して研究を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で十分な研究時間を確保できなかったため、計画に対して残額が生じた。 次年度で残額に関しては、論文作成の際の英語校正として16万円 郵便費用としての使用を予定している。
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