2022 Fiscal Year Annual Research Report
中東呼吸器症候群コロナウイルスの免疫回避機構の解明とそれに基づく新規ワクチン開発
Project/Area Number |
20K08838
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
北川 善紀 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (00444448)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中東呼吸器症候群コロナウイルス / コロナウイルス / アクセサリー蛋白質 / インターフェロン / 免疫回避 / Toll様受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)のアクセサリー蛋白質が備える宿主インターフェロン(IFN)システムを妨害する能力(抗IFN能)とその分子機構を明らかにすることを目的とした。 前年度までの研究により、MERS-CoVのORF4bタンパク質が、Toll様受容体(TLR)-7/9依存性IFN産生経路(TLR7/9経路)を阻害することが明らかになった。さらにORF4bは、同経路のシグナル伝達に関わるリン酸化酵素IKKαと結合して、細胞質から核内に引き込むことが確認された。そこで本年度は、IKKαとのこうした相互作用が、TLR7/9経路の阻害に重要であるかを検証した。まず、核移行シグナル(NLS)に変異を導入したORF4b変異体(NLS変異体)はIKKαとの結合能を保持しつつ、IKKαとともに細胞質に存在することを確認した。このNLS変異体のIFN産生シグナル阻害能を評価したところ、野生型と比べて20%ほど減弱していた。転写因子IRF7のリン酸化阻害についても同等だった。これらの結果から、ORF4bによるIKKαの核内への引き込みは、TLR7/9経路阻害に関与するものの十分ではなく、別の阻害機構が存在することが示唆された。 続いて、IKKαの恒常的活性化変異体を用いて、IRF7のリン酸化プロセスへの影響を評価した。その結果、ORF4bはIRF7リン酸化およびIFN産生シグナルを強く抑制することが明らかになった。一方、NLS変異体による阻害の程度は上記と同様、野生型と比べて減弱していた。以上の結果から、ORF4bによるIKKαの核内への隔離と、IRF7のリン酸化プロセスの妨害という、異なる2つの阻害機構がTLR7/9経路阻害に重要であることが示唆された。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] 霊長類モデルを用いたインフルエンザとCOVID-19のワクチン開発2022
Author(s)
伊藤靖, 石垣宏仁, 仲山美沙子, NGUYEN Thanh Cong, 北川善紀, 安井文彦, 小原道法, 石井健, 新開大史, 迫田義博, 喜田宏
Organizer
日本実験動物学会学術集会
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