2020 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザウイルス感染に伴う細菌二次感染易感染性の分子基盤解析と予防法確立
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20K08846
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
石川 裕樹 昭和大学, 医学部, 准教授 (60433918)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | インフルエンザウイルス感染 / 細菌二次感染 / 抗インフルエンザウイルス薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでに、インフルエンザウイルス感染に伴う肺への二次性細菌感染の易感染性について検討をおこなってきた。その結果、ウイルス感染後の細菌易感染性は宿主細菌排除能減弱、すなわち肺中の好中球貪食殺菌能低下に起因することを明らかにした。またその要因の一つとして、インフルエザウイルス感染による肺中のG-CSF産生低下が証明された。さらにG-CSF投与により肺中の好中球機能が部分的に回復し、細菌排除能も改善したことからG-CSF低下がこの好中球機能低下に一部関与することが示唆された。 本研究ではさらに2つの点から研究を遂行する。まずインフルエンザウイルス感染によるG-CSF産生低下のメカニズム解明およびその他の原因究明について研究を遂行するとともに細菌二次感染リスクバイオマーカーの探索も視野に入れ検討をおこなう。2点目として臨床的に二次性細菌性肺炎予防の観点から検討をおこなう。ウイルス感染後の二次性細菌性肺炎予防にG-CSF投与は費用対効果の面などからも臨床では現実的でない。そのためインフルエンザウイルス感染に伴う細菌排除能低下は、インフルエンザウイルスワクチン接種による感染免疫付与または抗インフルエンザウイルス薬早期投与による迅速なインフルエンザウイルス排除亢進が好中球の細菌排除機能維持ひいては二次性細菌性肺炎予防に寄与するか基礎医学的知見から明らかにし、臨床に有意義な情報を提供することで社会に貢献することを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の予定では、予備検討で得た、「抗インフルエンザウイルス薬投与によるインフルエンザウイルスの早期排除亢進は二次性細菌性肺炎予防に有効である」という結果の再現性を確認するとともに、そのメカニズムについてより詳細な解析をおこなうことを予定していた。しかしながらコロナウイルス感染拡大に伴う非常事態宣言により、当大学では実験動物の購入およびマウス繁殖に制限がかかり、動物実験が遂行できなかったため当初の計画より遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
予備検討で得た「抗インフルエンザウイルス薬投与によるインフルエンザウイルスの早期排除亢進は二次性細菌性肺炎予防に有効である」という結果の再現性を確認するとともに、そのメカニズムについてより詳細な解析をおこなう。詳細な解析とは、以前の研究においてインフルエンザウイルス感染は宿主肺中の好中球機能を低下させることで細菌二次感染を増悪させることが証明されたので、好中球の貪食能やミエロペルオキシダーゼを中心とした好中球殺菌能について解析をおこなう。また好中球機能に影響を与えるサイトカインについても測定をおこなう。
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Research Products
(3 results)