2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K08862
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
古元 礼子 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70311818)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恒富 亮一 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10420514)
早野 崇英 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (30642392)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 代謝 / Hippo経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
Hippo経路は発生期において、形態形成、多分化能獲得、およびstemness(幹細胞らしさ)に関わり、組織の再生や発生過程で重要である。本経路は組織の発生・再生過程において、①器官の大きさや発がんを抑制、②細胞間接着や細胞骨格刺激に応答し、細胞接着阻害や上皮間葉転換(EMT)に関与、③幹細胞の未分化能の維持、④細胞数や張力に応答、等の役割が知られている。これらは転写共役因子YAP/TAZの制御を介するが、Hippo経路の重要性にも関わらず、そのメカニズムは不明な点が多い。 本研究課題では、Hippo経路とその鍵分子YAP/TAZによるエネルギー代謝制御について、3次元細胞培養系を用いた研究を行う。通常の2次元培養では細胞は平面的に増殖し、転写共役因子YAP/TAZは著しく活性化している。しかし、細胞は本来立体的に組織を形成するので、YAP/TAZの生理的な役割の解析には3次元培養系が必須である。そこで、本研究では3次元培養系でのRNAseqによる網羅的解析結果に基づき、これまでの2次元培養では明らかにできなかったエネルギー代謝、コレステロール・脂質代謝におけるYAPネットワークの全容を解明する。 今年度は、各種細胞で3次元培養を行い、転写共役因子YAPによって制御される代謝経路を特定するために、RNAseqを実施する計画を立て、ヒト正常細胞株のhTERT- RPE1細胞 (ヒト網膜色素上皮細胞)の3次元細胞培養を行い、遺伝子発現の網羅的解析を行った。野生型とHippo経路抑制株とでの遺伝子発現パターンの比較を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はスクリーニング的な網羅的解析を計画しており、作業は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在行っているスクリーニング的な網羅的解析結果を踏まえ、YAPによって制御される代謝経路の責任分子候補を選別する。それらの分子の役割を特定するため、各種細胞で3次元細胞培養系での代謝活性測定を行う。
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Causes of Carryover |
今年度に行った実験の一部は手持ちの試薬類で対応できた。また実験を進める上で、Hippo経路は新しい分野なので、概念や技術が日々進歩するため、頻繁に計画の見直しが必要となり、これに伴う試薬類の購入について未使用額が生じた。この未使用学については、令和3年度の実験試薬の購入に充てる。
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