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2020 Fiscal Year Research-status Report

性ホルモンが副腎皮質の細胞増殖に性差をもたらすメカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 20K08863
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

馬場 崇  九州大学, 医学研究院, 准教授 (40435524)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords副腎皮質 / 性ホルモン / 細胞増殖 / 代謝制御
Outline of Annual Research Achievements

本年度は計画通り、雌雄の野生型およびAd4BPヘテロ欠損マウスの副腎皮質束状層細胞を用い、トランスクリプトームデータの取得を完了した。内部標準を用いて正規化を行ったところ、驚くべきことに多くの遺伝子(~60%)の発現がメスでオスに比べて2倍以上高いことが明らかとなった。さらに、これらのメス高発現遺伝子群は、Ad4BPヘテロ欠損により発現低下することが分かった。すなわち、副腎皮質束状層細胞におけるグローバルな遺伝子発現の性差構築にAd4BPが深く関与することが示唆された。
Ad4BPが上記のメス高発現遺伝子群を個々に直接制御するか否かを明らかにするため、CUT&RUN-seq法によりAd4BPの標的遺伝子座のゲノムワイドな同定を行った。なお、本研究の申請時にはChIL-seqを行うこととしていたが、より簡便な方法であるCUT&RUN-seqの手法を確立したためこちらを行うこととした。その結果、メスの副腎皮質束状層細胞において、Ad4BPは非常に多くの遺伝子座に直接結合していた一方、オスにおいてはメスで観察された結合が大きく減弱、もしくは消失していた。さらに詳細なデータの解析が必要であるが、現在のところ、Ad4BPはメス高発現遺伝子群を個々に直接制御すると考えている。
以上の結果から、副腎皮質束状層細胞におけるAd4BPによる標的遺伝子群の制御には明確な性差が存在すること、そしてその結果グローバルな遺伝子発現の性差(メス>オス)が作り出されることを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の研究計画①(性ホルモンによるAd4BPの発現制御)において、男性ホルモン受容体ARの標的遺伝子座をゲノムワイドに同定し、Ad4BP遺伝子の発現制御への関与を検討する予定であった。本計画に関しては、条件検討は完了したもののデータの取得までは至らなかった。しかし、次年度の早い時期にデータが得られる予定である。
研究計画②(Ad4BPによる代謝関連の遺伝子発現、および代謝活性の制御)に関しては、研究実績の概要に記した通り、トランスクリプトームデータの取得及びCUT&RUN-seqデータの取得を完了し、データ解析も概ね完了した。解糖系、NADPH産生遺伝子群も発現にAd4BP依存的な性差を示したため、次年度は代謝活性を測定し性差の有無を検討する。
研究計画③(性ホルモンによる代謝制御)に関しては、生殖腺を除去した雌雄マウスに男性ホルモンまたは女性ホルモンを再補充し、本来の性と逆の性ホルモン存在下で代謝の逆転が誘導されるか検討する。すでに性ホルモンを再補充したマウスの副腎皮質束状層細胞を用いたトランスクリプトームデータの取得は完了している。次年度はデータ解析を進めたのち、代謝活性の測定を行う予定である。

Strategy for Future Research Activity

まず次年度早々に男性ホルモン受容体ARのCUT&RUN-seqデータの取得を完了する。そして、ARがAd4BP遺伝子の制御に直接関与するか否かを明らかにする。
トランスクリプトデータをさらに詳細に解析し、解糖系、NADPH産生経路以外のAd4BPの制御下にある代謝経路の同定を目指す。同時に、雌雄のAd4BPヘテロ欠損マウス、及び性ホルモン再補充マウスから副腎皮質束状層細胞を調製し、まずは解糖系とミトコンドリア酸化的リン酸化の代謝活性を測定する。また、遺伝子発現に性差を示す他の代謝経路が見つかった場合には、適切な方法でその活性を測定し雌雄で比較する。

Causes of Carryover

本年度は新型コロナ禍により在宅勤務を余儀なくされ、研究室で実験を行えない期間ができてしまった。その影響で当初予定していたARのCUT&RUN-seqデータの取得を本年度中に行えず、データ取得に必要な消耗品(おもに次世代シークエンサー用のフローセル、ライブラリー作成に必要な試薬類など)を購入するための費用を次年度に繰り越した。また、出席を予定していた学会がオンライン開催となり、そのための旅費を次年度に繰り越した。次年度に繰り越した研究費は、当初の予定通り、ARのCUT&RUN-seqを行うための費用、および学会参加のための旅費に充てる。

  • Research Products

    (6 results)

All 2021 2020 Other

All Journal Article (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results) Remarks (2 results)

  • [Journal Article] Gene expression and functional abnormalities in XX/Sry Leydig cells2021

    • Author(s)
      Yanai Shogo、Baba Takashi、Inui Kai、Miyabayashi Kanako、Han Soyun、Inoue Miki、Takahashi Fumiya、Kanai Yoshiakira、Ohkawa Yasuyuki、Choi Man Ho、Morohashi Ken-ichirou
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 11 Pages: -

    • DOI

      10.1038/s41598-020-80741-z

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] GC‐MS‐based metabolic signatures reveal comparative steroidogenic pathways between fetal and adult mouse testes2020

    • Author(s)
      Han Soyun、Baba Takashi、Yanai Shogo、Byun Dong Jun、Morohashi Ken‐ichirou、Kim Jae‐Hong、Choi Man Ho
    • Journal Title

      Andrology

      Volume: 9 Pages: 400~406

    • DOI

      10.1111/andr.12893

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Journal Article] Coordination of Multiple Cellular Processes by NR5A1/Nr5a12020

    • Author(s)
      Morohashi Ken-ichirou、Inoue Miki、Baba Takashi
    • Journal Title

      Endocrinology and Metabolism

      Volume: 35 Pages: 756~764

    • DOI

      10.3803/EnM.2020.402

    • Open Access
  • [Presentation] ライディッヒ細胞の発生分化2020

    • Author(s)
      馬場崇、井上実紀、諸橋憲一郎
    • Organizer
      第93回日本内分泌学会学術集会
  • [Remarks] 九州大学 大学院医学研究院 分子生命科学系部門 性差生物学講座(分子生物学)ホームページ

    • URL

      https://www.med.kyushu-u.ac.jp/seisaseibutu/

  • [Remarks] 科研費 新学術領域研究 平成29-33年度 性スペクトラムー連続する表現型としての雌雄 ホームページ

    • URL

      http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/sexspectrum/

URL: 

Published: 2021-12-27  

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