2020 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of salt-inducible kinase and steroid-producing tissues by targeted proteomics and mass spectrometry
Project/Area Number |
20K08867
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
秦野 修 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40164850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 浩之 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 准教授 (40609393)
竹森 洋 岐阜大学, 工学部, 教授 (90273672)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 塩誘導キナーゼ / 卵巣 / 女性生殖機能 / 標的プロテオミクス / ステロイドホルモン産生組織 / コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系 |
Outline of Annual Research Achievements |
塩誘導キナーゼ(SIK,1,2,3)はAMPKファミリーに属し、SIK1,2,3の欠損マウスは生殖異常、ステロイド合成酵素群の発現異常、代謝異常(低血糖、低脂肪、低体重)、軟骨形成異常、虚血性疾患など、各SIK種により多彩で重篤な異常を呈した。本研究は、ステロイドホルモン生合成を含めて多様な表現型異常に関与する塩誘導キナーゼの機能解析をする目的で、本年度は排卵などの女性生殖機能におけるSIK1,2,3の機能の相違を解析した。卵巣顆粒層細胞には SIK1,2,3が全て発現しており、雌SIK3欠損マウスの卵巣は野生型マウス卵巣に比べて小さく、卵胞内出血を頻繁に認め、黄体の形成は無く、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)様を呈し、無排卵による不妊であった。一方、SIK2欠損マウスは、ゴナドトロピン過排卵処理によって野生型マウスの5-6倍の過排卵(約120個)を認め、排卵機能においては SIK3は正方向に、SIK2は負方向に作用する結果が得られたことから、SIK2を特異的に阻害する薬剤が不妊治療に有用である可能性などを報告した(Endocrinology 2020)。又、塩誘導キナーゼ(SIK1,2,3)に結合するタンパク質を、ヒト転写因子群、シグナル伝達関連分子群から網羅的に同定する目的で、本年度は ヒトSIK1,2,3のキナーゼドメインをコムギ胚芽無細胞系で合成すると共に、それらのビオチン化を行った。一方、SIKに結合することが既知のヒトタンパク質4種をFLAG-GSTを融合させた形で小麦胚芽無細胞合成を行い、ビオチン化SIK1 のキナーゼドメインとの結合実験を AlphaScreen法により行ない、ヒトSIK1キナーゼドメインと、ヒトCRTC1、CRTC2、HDAC4との結合を認めた。又、組織立体構造上での機能分子の分布を明らかにする目的で、透明化手法を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
排卵などの女性生殖機能における塩誘導キナーゼ(SIK1,2,3)の機能の相違を解析し、卵巣顆粒層細胞においては SIK1,2,3の全ての発現を認めるが、SIK3は排卵機能に正方向に働き、一方、SIK2は排卵機能に負方向に働くことを見出した。又、ヒトSIK1, SIK2, SIK3のキナーゼドメインをコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系で合成し、それらの結合タンパク質をヒト転写因子群、プロテインキナーゼ群の網羅的タンパク質アレイからAlphaScreen法で同定する準備を行っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ビオチン化したヒトSIK1, SIK2, SIK3のキナーゼドメイン、及び、全長タンパク質をコムギ胚芽無細胞タンパク質合成系で作成して、愛媛大学プロテオサイエンスセンターが構築したヒト転写因子群アレイ(約1300種)とプロテインキナーゼ群アレイ(約500種)を含む約7000種のタンパク質アレイからSIK1,2,3の各々に強く結合するヒトタンパク質をAlphaScreen 法で網羅的に同定し、SIK1,2,3の機能の相違を副腎、精巣、卵巣などステロイドホルモン産生組織における組織分化に関与する転写関連因子、シグナル伝達関連分子等の相違や役割を解析すると共に、それら分子の組織立体構造内での相互分布などを明らかにしていきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:新型コロナパンデミックの影響もあり、年度内に無理に全額を使い切るのでなく、次年度予算と合わせてより有効に研究費を使用するため。 次年度使用額の使用計画:消耗品に使用する。
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Research Products
(3 results)