2021 Fiscal Year Research-status Report
若年発症糖尿病濃厚家系の原因遺伝子探索と診療への応用
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20K08868
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
古田 浩人 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (90238684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 修平 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50372868)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MODY / PAX4 |
Outline of Annual Research Achievements |
単一遺伝子異常が疑われる若年発症糖尿病症例(糖尿病診断年齢25歳未満、BMI<30、膵島関連自己抗体陰性)を対象に全エクソームシーケンス法にて解析を行なった。既知のMODY遺伝子内には単独で発症と関連する変異は認められなかったが、PAX4遺伝子(MODY9)内の低頻度遺伝子多型であるp.Arg200His変異(rs2233580)が日本人の一般集団のデータに比し高頻度に認められた。同変異は一般的な2型糖尿病の発症に関係することが報告されている遺伝子多型であるが、日本人2型糖尿病集団のデータと比べても高頻度であった[OR:3.52(1.71-7.23),p=2.55e-4]。一方、GCK遺伝子異常によるMODY2患者、HNF1A遺伝子異常によるMODY3患者を対象とした検討では同変異は認められなかった。さらに、膵α細胞株を用いた実験系において200番目をHisに置換したPAX4では転写因子としての機能が消失していた。若年発症糖尿病の原因としては、単一遺伝子異常が原因の場合に加え複数の遺伝子が関与する場合も想定すべきであること、後者の場合においてはPAX4遺伝子の遺伝子多型が重要な役割の一つを担っていると考えられた。 一方、MODY3は常染色体顕性(優性)遺伝形式で家系内に糖尿病患者を認めることがほとんどであるが、新たに同定したMODY3家系(p.Arg263Gly変異)では、発端者(15歳診断)の母親も同じ変異を有していたが、OGTTで初期インスリン分泌の低下は認められるものの耐糖能は正常に保たれていた。痩せ体型で運動習慣がありHOMA-IRは0.76とインスリン感受性が良好であることがその理由として想定された。単一遺伝子異常が原因の糖尿病においても、食習慣、運動習慣の影響を強く受けること、それらへの適切な介入が発症予防、重症化予防に繋がるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たな原因遺伝子の解明に取り組んでいるが候補となる遺伝子の確定までには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に沿って研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
技術進歩により計画時点よりも少ない費用で全エクソームシークエンス解析などを実施できた事による。2022年度は全ゲノムシークエ ンス解析なども適宜組む合わせながら研究を遂行する。
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