2022 Fiscal Year Annual Research Report
若年発症糖尿病濃厚家系の原因遺伝子探索と診療への応用
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20K08868
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
古田 浩人 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (90238684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 修平 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (50372868)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MODY / 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
HNF1B遺伝子異常は、若年発症糖尿病に加え腎形成不全、膵形成不全など多彩な臨床像を伴う疾患である。ミスセンス、ノンセンス、フレームシフトなどの遺伝子異常が原因の場合に加え、同遺伝子を含む染色体17q12領域の欠失が原因の場合も少なくない。一般に前者のタイプの探索では、候補遺伝子に対するターゲットシークエンス法や全エクソームシーケンス(WES)法が有用であるが、後者のタイプの探索ではMLPA法やアレイCGH法による解析が必要であるとされている。今回、染色体17q12領域の欠失が原因の膵体尾部欠損を伴う糖尿病症例を新たに同定したが、WES法のデータ解析で同領域内に位置する既報の遺伝子多型にヘテロ接合型を認めないことがその契機であった。さらに、WES法の結果から推定した欠失領域はアレイCGH法においても確認することが出来た。HNF1B遺伝子異常は、若年発症糖尿病の原因として比較的頻度の高い遺伝子異常であるが、今回の結果は、MLPA法やアレイCGH法を行わずにWES法のみでも欠失診断が可能であることを示唆し、同遺伝子異常の診断の効率化に貢献できるものと考えている。 HNF1A遺伝子異常は、同様に若年発症糖尿病の原因として比較的頻度の高い遺伝子異常であるが、ミスセンス変異が同定された場合、その臨床的な意義の判定に苦慮することも少なくない。一方、ミスセンス変異がその機能に与える影響の推定に関してはin silicoの予測判定ツールが幾つか開発されている。今回、変異型HNF1Aのin vitro機能解析結果と予測判定ツールの解析結果を比較することで、種々のツールの有用性ならびに診断判定に有用なcut-off値の検討を試み、VEST4(ROC曲線解析のAUC値:0.948, cut-off値:0.804)、PROVEAN(0.943, -3.01)、REVEL(0.945, 0.828)、BayesDel(0.925, 0.317)などが有用であるとの結果を得ることが出来た。
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Research Products
(4 results)