2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K08871
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
後藤田 貴也 杏林大学, 医学部, 教授 (60322062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 隆史 杏林大学, 医学部, 助教 (00572033)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | キヌレニン / 糖代謝 / ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
①KAT-1ノックアウト(KO)マウスでは脳および血漿キヌレン酸濃度の有意な減少を認めた。しかし本マウスでは普通食下並びに高脂肪食負荷においても野生型マウスと比べて体重に違いは認められなかった。ただし、普通食飼育下の若週齢時(5,6週齢時)ではKAT-1KOマウスで有意な体重低下を認め、耐糖能やインスリン感受性に関しては両群に有意な差は認められなかった。 ②KAT-2KOマウスでは、肝臓や血漿のキヌレン酸濃度が顕著な減少を示した(それぞれ-92%、-90%)。一方、精巣周囲の白色脂肪組織、褐色脂肪組織、脳、心臓、小腸のキヌレン酸濃度は野生型マウスと比べて有意な差は認められなかった。普通食飼育下で体重や耐糖能についても野生型マウスとの違いは認められなかった。 次に高脂肪食飼育下で同様の評価を行い、7週齢からの高脂肪食負荷では負荷10週経過時よりKAT-2KOマウスでは有意な体重の増加を認め、加えて耐糖能の悪化とインスリン感受性の低下を認めた。25週齢で解剖したところ、KAT-2KOマウスでは肝臓、褐色脂肪組織重量に有意な増加を認めた。一方、精巣周囲脂肪重量は野生型マウスとの間に違いを認めなかった。キヌレン酸濃度が著減し、また重量変化が認められたことから、肝臓の脂質重量を調べたところ肝トリグリセリド含量がKAT-2KOマウスで有意に増加していた。mRNA発現量をリアルタイムPCR法で測定したところ、ACC1,ACC2,FAS,GPAT,SCD-1,FAT(CD36)といった脂質合成関連の遺伝子の発現量がKAT-2KOマウスにおいて有意な増加を示した。肝Aktのリン酸化の評価ではSer473のリン酸化には違いは認められなかった。 以上より、KAT-1KOマウスよりもむしろKAT-2KOマウスにおいてキヌレン酸濃度の著しい低下と耐糖能の悪化がみられることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以前、KAT-1KOマウスに対しては行った、放射性標識キヌレニンを用いた組織タンパク中のKAT活性の測定が、KAT-2KOマウスに対してはいまだ行えていない。これは、以前よりこの評価系で用いていた[3H]キヌレニンの製造が停止していることによる。
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Strategy for Future Research Activity |
KAT-1KOマウスはキヌレン酸濃度の低下が比較的軽微な上、普通食飼育下でも、高脂肪食負荷時でもほとんど耐糖能には違いが認められなかった。今後はキヌレン酸濃度の低下と糖代謝異常がより強く認められたKAT-2KOマウスの解析を中心に行う。また、肝臓以外の臓器も耐糖能の悪化に寄与している可能性が考えられ、褐色脂肪組織や白色脂肪組織、骨格筋の糖代謝関連遺伝子の発現量をリアルタイムPCRにより評価する。
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