2022 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞のPHLDB1を介した糖脂質代謝とアディポカイン分泌機構の解明
Project/Area Number |
20K08883
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
土屋 恭一郎 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60451936)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
野生型マウスにおいて、PHLDB1は白色・褐色脂肪組織に高発現し、肝臓・骨格筋では低発現であった。高脂肪食給餌野生型マウスの脂肪組織では、小胞体ストレスによるATF4増加および低酸素誘導性のp53発現増加に伴い、対照の非肥満マウスと比較してPHLDB1発現の低下を認めた。高脂肪食給餌全身PHLDB1ノックイン(KI)マウスは、対照マウスと比較して体重非依存的に糖脂質代謝が改善し、脂肪組織のInsシグナル活性化、脂肪組織炎症の軽減を伴った脂肪組織肥大化と肝臓内脂肪蓄積量の減少を認めた。また、高脂肪食給餌脂肪細胞特異的PHLDB1 KIマウスでは、対照マウスと比較して全身KIマウスと同様の表現型を示した。これら2種類のPHLDB1 KIマウスで認めた、脂肪組織炎症の軽減を伴った脂肪組織の肥大化は、”healthy adipose expansion”と称されており、その機序について細胞レベルで検討することとした。3T3-L1細胞において、PHLDB1はIns依存的に糖取り込みを促進することが分かった。また、3T3-L1細胞においてPHLDB1はユビキチンリガーゼMDM2と共局在することによりp53のプロテアソーム依存性分解を促進し、SREBP1の発現促進により、脂質合成を刺激することが分かった。さらに、PHLDB1の微小管を介した作用について検討した。3T3-L1細胞において、PHLDB1の過剰発現により微小管安定化を示すtubulinのアセチル化が増加し、RhoAの活性化が抑制され、コラーゲンⅥの発現が抑制された。このコラーゲンⅥ発現抑制は、微小管脱重合誘導剤nocodazoleにより解除されたが、さらにROCK阻害薬Y27632を添加することによりコラーゲンⅥの発現は抑制された。
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