2020 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of photoreception in the fish pituitary
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20K08885
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
佐藤 恵太 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (80725622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 真司 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50634284)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | メダカ / 光受容 / 下垂体 / 内分泌 / オプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
メダカ下垂体を単離し、人工脳脊髄液中(ACSF)で刺激を加えた後に固相抽出して質量分析にかけることで、下垂体そのものが特定の刺激に依存して放出するホルモンを検出する方法を確立した。まず、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンで刺激することで、プロオピオメラノコルチン(POMC)に由来するホルモンがACSF中に複数放出されることを確認した。これまでの研究で紫外光受容体である哺乳類型オプシン5(Opn5m)がメダカ下垂体中でPOMCの発現領域に共発現していることがわかっていたため、上記の方法を用い、単離下垂体に紫外光を照射する実験を行った。結果、POMCに由来する複数のホルモンがACSFから検出され、メダカ下垂体が直接光受容することでホルモンを放出することが示された。 メダカがもつOpn5mがどのような細胞内シグナル伝達系を介してホルモン放出をもたらすかを明らかにするための実験を行った。カルシウム依存性発光タンパク質であるイクオリンを用い、メダカOpn5mが培養細胞株中で紫外光によりカルシウム応答を引き起こすことを見出した。このカルシウム応答を引き起こすと考えられる下流のシグナルタンパク質の遺伝子を培養細胞株からゲノム編集により除去し、メダカOpn5mによる紫外光依存的なカルシウム応答の消失を確認した。この遺伝子改変培養細胞株に種々のタンパク質を遺伝子導入することでシグナル伝達系を再構築し、メダカOpn5mが特定のシグナルタンパク質を介してのみカルシウム応答を引き起こすことを示すデータを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単離したメダカ下垂体が放出するペプチドホルモンを直接検出する方法を確立した。これは今後下垂体の光受容を研究するに当たり、重要な方法である。野生型メダカを用いた実験から、下垂体に発現することがすでにわかっている3種類のオプシンのうち、Opn5mが光を吸収してPOMC由来のホルモンを放出させることを示す結果を得た。さらなる検証のためOpn5mノックアウトメダカを作出済みであり、野生型と比較することでOpn5mが光受容してホルモンを放出させていると確実に言える結果が得られると期待できる。下垂体に発現するオプシンがどのような細胞内シグナル伝達系を駆動しているか明らかにするため、下流で働くGタンパク質αサブユニットを複数ノックアウトしたHEK293T細胞株を調製した。この細胞を用いることで、Opn5mが特定のGタンパク質を介して細胞内カルシウム応答をもたらすことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
単離下垂体ACSFを直接固相抽出し質量分析にかける現在の方法では、分子量が1万を超えるタンパク質のホルモンを同定することが難しい。トリプシンによる処理を加えることで、プロラクチンや甲状腺ホルモンなどのホルモンを同定できるように測定プロトコルを改良する。メダカ下垂体においてプロラクチン、甲状腺ホルモンが発現する領域にはオプシン3が発現している。これらの細胞が光に応答するかどうかをin vivoで明らかにするため、カルシウム応答蛍光タンパク質であるGCaMPを発現するトランスジェニックメダカを作製し、解析する。さらにこれまでに作製したノックアウトHEK293T細胞株を用い、オプシン3の下流で働く細胞内シグナル伝達系を明らかにする。Opn5mノックアウトメダカと野生型メダカの下垂体について単離して光照射する実験を行い、Opn5m関連のデータをまとめて論文とする。
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Causes of Carryover |
牛胎児血清(FBS)をはじめとして細胞培養に用いる試薬が予定より安価に入手できたため。次年度も培養細胞を用いた実験を継続するため、シャーレ等の消耗品の費用に当てる。
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Research Products
(4 results)