2020 Fiscal Year Research-status Report
小児期放射線被曝による甲状腺機能への影響と障害メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K08886
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤本 成明 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (40243612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松山 睦美 (松鵜睦美) 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (00274639)
中島 正洋 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50284683)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線被曝甲状腺癌 / 小児甲状腺癌 / ラット甲状腺 / 頸部X線 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児期の放射線被曝により甲状腺癌が誘発されることはよく知られる。我々は、ラットを用いた甲状腺局所X線照射実験により、新生仔期甲状腺被曝は、発癌リスクばかりでなく、甲状腺機能へも特異的に影響を与え、その作用は成体期にまで長期に及ぶことを実験的に明らかにした。甲状腺機能は個体発達に必須であり、障害されると成長遅延等の大きな健康リスクとなり得る。本研究では、小児期放射線被曝による甲状腺機能への影響についての詳細を明らかにし、その障害メカニズムを解明し、さらに被曝による小児期甲状腺の発癌メカニズムへの関わりについても明らかにする。 本年度は、甲状腺局所X線照射のラット週齢および線量依存性についての解析を進めた。週齢による放射線感受性の違いについて詳細を明らかにするため、雄Wistarラット、生後1週齢(新生仔)、2週齢(新生仔)、4週齢(幼若期)、8週齢(成体期)の頸部(甲状腺部)に、0、12 GyのX線を照射し16週齢で剖検した。また生後1週齢で、0、1.5、3、6、12 Gyの頸部(甲状腺部)X線照射を行い8週齢で剖検した。血中の甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモンの測定を行った。甲状腺組織内で、甲状腺ホルモン産生に関わる遺伝子、甲状腺発がんに関与することが知られる遺伝子の発現定量解析をおこなった。甲状腺濾胞細胞の増殖-細胞死のダイナミクスを明らかにするため、組織標本のKi-67染色とTUNEL染色像を定量形態学的に解析した。放射線被曝影響は、被曝時期が新生仔期である場合のみ顕著であり、感受性の週齢依存性が明らかになった。また被曝線量応答性も明確に示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的である頸部放射線被曝の甲状腺影響について、ラット週齢および線量依存性の実験が予定通り完了して、解析も順調に行われているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、新生仔期X線頸部(甲状腺部位)被曝による、甲状腺の機能的変化の詳細について検討し、さらに甲状腺ホルモン調節系全体(下垂体-甲状腺-肝臓によるホルモン調節系)への影響を解析する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19パンデミックによる品不足により、発注していたPCRプレート等の納期が遅れたため。2021年度の入荷後の支払いに充当する。
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[Journal Article] Internal doses in experimental mice and rats following exposure to neutron-activated 56MnO2 powder: results of an international, multicenter study2020
Author(s)
Stepanenko V, Kaprin A, Ivanov S, Shegay P, Zhumadilov K, Petukhov A, Kolyzhenkov T, Bogacheva V, Zharova E, Iaskova E, Chaizhunusova N, Shabdarbayeva D, Amantayeva G, Baurzhan A, Ruslanova B, Abishev Z, Apbassova M, Kairkhanova Y, Uzbekov D, Khismetova Z, Zhunussov Y, Fujimoto N et al
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Journal Title
Radiation and Environmental Biophysics
Volume: 59
Pages: 683~692
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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