2020 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺におけるオートファジーの調節機構及び発癌過程における意義
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20K08888
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
蔵重 智美 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (60568955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永山 雄二 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (30274632)
嶋村 美加 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (90736406)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 甲状腺 / オートファジー / TSH / PKCシグナル伝達経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①甲状腺細胞におけるオートファジー活性はホルモン(TSH、甲状腺ホルモン)によりどう調節されるか、②オートファジーは甲状腺の自然発癌と放射線発癌にどのように関与しているかを検討する目的で行っている。以下に令和2年度の研究実績の概要を示す。 〇甲状腺細胞におけるオートファジー活性の調節 1) 既知のオートファジー調節剤による変化の確認:in vitroにおける検討としてラット甲状腺細胞株PCCl3を用いた。PCCl3細胞にオートファジー促進剤であるラパマイシンおよび阻害剤であるクロロキンを投与し、オートファジーフラックスをLC3IIとp62の発現でモニターした。結果としてラパマイシンおよびクロロキンによるオートファジー活性の増強および阻害をそれぞれ確認し、PCCl3細胞において機能的なオートファジーを有することを示した。2) ホルモン(TSH、甲状腺ホルモン)による調節:甲状腺細胞においてオートファジーがホルモン調節に関与するかを研究するためにPCCl3細胞を使用して実験を行った。結果として、TSHはオートファジー活性を増加させることが分かった。TSHはcAMP-PKA-cAMP応答エレメント結合タンパク質であるERKおよびPKCシグナル伝達経路を介することでオートファジー活性を正に調節する。一方、甲状腺ホルモンは甲状腺細胞におけるオートファジー活性を阻害した。オートファジーによって生成される代謝物は、TSHによって刺激されるタンパク質合成に必要とされている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
甲状腺細胞におけるオートファジー活性の調節についての検討は、in vitroでの実験において順調に進み、終了した。この検討は研究課題全体の1/3程度に相当するため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の予定通り①甲状腺細胞におけるオートファジー活性の調節についての検討をin vivoで行う。②オートファジーの癌化への影響を当教室で確立した甲状腺癌モデルマウスを用いて検討する(現在検討中)。③オートファジー欠損マウスでの放射線発癌実験を行う(現在検討中)。
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Causes of Carryover |
本年度は細胞培養の実験を主に行ったため、動物の購入や病理組織作製試薬の購入に関する費用が抑えられた。次年度は動物実験がメインとなるため、本年度の未使用分を充てる計画である。
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