2020 Fiscal Year Research-status Report
グレリンとLEAP2による肝臓の糖代謝調節機序の解析
Project/Area Number |
20K08911
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
迫田 秀之 宮崎大学, 医学部, 准教授 (50376464)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ペプチド / 糖脂質代謝 / 臓器連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
生理活性ペプチドは、ホルモンとしての役割に加えて、自律神経や免疫を介した多臓器連関で生体の恒常性維持に働く。肝臓や腸管から分泌される抗菌ペプチドliver-expressed antimicrobial peptide 2 (LEAP2)が、グレリン受容体の内因性アンタゴニストで、グレリンの成長ホルモン分泌と摂食亢進作用を抑制することが報告された。申請者は、LEAP2がグレリンの血糖上昇と体温低下作用にも拮抗的に働く一方で、グレリンが肝臓でのLEAP2発現を抑制することから、グレリンとLEAP2は、摂食と成長ホルモン分泌調節に関わる胃・肝臓臓器連関を示すことを報告した。本申請では、グレリンとLEAP2が肝臓で糖脂質代謝を調節する分子機序を解析し、ヒト糖尿病や肥満症、NAFLDでLEAP2を測定し病態との関連を明らかにしていく。 初代培養肝細胞をパルミチン酸やIL1、IL6、TNF alphaなどのサイトカイン、インスリン、グルカゴンやGLP-1などのペプチドで刺激したモデルで、LEAP2やGHSRなどの発現量を測定し、発現量を調節する因子を特定した。今後は、発現調節の分子機序を解明していく。 60%高脂肪食を野生型マウスに摂餌させた。高脂肪食摂餌開始後、2,4,6,8,12,16週間に、血液と各組織を採取して、LEAP2の血中濃度や肝臓、消化管の発現量を経時的に測定を進めている。 健常者、2型糖尿病と肥満症を対象として、食事負荷試験(クッキー試験)を行う。試験食の摂取前、摂取開始後30分、60分、120分と経時的に採血して、LEAP2、血糖、インスリン、グレリン、成長ホルモン等の測定を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初代培養肝細胞をパルミチン酸やサイトカイン、ペプチドで刺激したモデルで、LEAP2やGHSRなどの発現量を測定し、発現量を調節する因子の候補を同定した。 高脂肪食負荷マウスでLEAP2の血中濃度や肝臓、消化管の発現量を経時的に観察した。 健常者、2型糖尿病、肥満症を対象として、食事負荷試験を行う。試験食の摂取前、摂取開始後経時的に採血を行い、LEAP2、血糖、インスリン、グレリン、成長ホルモン等の測定を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
初代培養肝細胞を用いて、LEAP2やGHSRなどの発現量調節の分子機序を明らかにする。 高脂肪食負荷マウスにLEAP2あるいは抗LEAP2マウスモノクローナル抗体を投与して、摂食量、体重、血糖など測定する。肝臓のグリコーゲンや中性脂肪含量を測定し、糖脂質代謝に関連する遺伝子群の発現量変化を解析する。LEAP2の投与が肝臓や脂肪組織の炎症を惹起するか解析する。LEAP2が糖尿病や肥満の病態に与える影響を検証する。 ヒトを対象とした臨床研究の症例数を増やして解析を進める。
|