2021 Fiscal Year Research-status Report
小胞体膜タンパク質ILDR2が及ぼす生体膜リン脂質の変容と脂肪肝進展機序の解明
Project/Area Number |
20K08914
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
渡邉 和寿 自治医科大学, 医学部, 講師 (60724416)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / 肝線維化 / 肝硬変 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】我々は肥満マウスを用いたポジショナルクローニング法により新規糖尿病感受性遺伝子Ildr2を同定し、ILDR2が脂肪肝発症に重要な因子であることを見出した。この分子機序解明のため、ILDR2結合タンパク質を探索したところ、新規結合分子としてリン脂質脂肪酸転移酵素(MBOAT7)を同定した。しかし、ILDR2の機能やMBOAT7との相互作用、脂肪肝進展における意義は明らかでない。そこで本研究では、ILDR2発現低下が脂肪肝進展に影響を及ぼすかどうかを検討した。 【方法】ILDR2-floxマウスにAAV-Creを投与した肝臓特異的ILDR2ノックアウトマウス(LKO-ILDR2)にコリン欠乏・メチオニン減量高脂肪食(CDAHFD)を与えた脂肪肝モデルマウスを作製し解析した。 【結果】CDAHFD(60kcal%)を与えたLKO-ILDR2マウスは、早期に脂肪肝を呈するが、コントロールと比べて有意な変化は得られなかった。CDAHFD(45kcal%)を与えたLKO-ILDR2マウスでは、コントロールと比べてより早期に脂肪肝が発症した。 【考察】当初、CDAHFD(60kcal%)を与えたLKO-ILDR2マウスの肝臓中性脂肪はより早期に脂肪肝を呈し、肝線維化が促進する推測していたが、予想に反した結果となった。CDAHFD(45kcal%)を与えたLKO-ILDR2マウスはコントロールマウスと比べ、早期に脂肪肝や繊維化を引き起こしたため、よりマイルドな条件の方がILDR2欠損による脂肪肝発症への影響が得やすいことが分かった。そのため、今後、飼料中の組成条件を変更し、LKO-ILDR2マウスの経時的な脂肪肝発症の観察をする必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
食餌中の脂肪含有率やメチオニン含有率の違いによって、肝臓特異的ILDR2ノックアウトマウスにおける脂肪肝発症と肝線維化の程度が異なる可能性を示す結果が得られたため、計画はおおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
食餌の違いによる肝臓特異的ILDR2ノックアウトマウスの経時的観察により、脂肪肝の発症・肝線維化の進展程度について解析していく。
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Causes of Carryover |
オンライン形式の学会により、旅費として使用しなかったため。 残額については、次年度の助成金と合わせて論文投稿料等に使用する。
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