2022 Fiscal Year Annual Research Report
生体肺移植におけるドナー、レシピエントの末梢血テロメア長と慢性移植肺機能不全
Project/Area Number |
20K08925
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
半田 知宏 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (10432395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳川 豊史 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00452334)
松田 文彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (50212220)
伊達 洋至 京都大学, 医学研究科, 教授 (60252962)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | テロメア / 肺移植 / 慢性移植肺機能不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
2008年1月から2019年7月までの間に京都大学病院呼吸器外科で生体肺移植を施行したレシピエント、ドナーを対象とした。慢性移植肺機能不全(CLAD)発症群と非発症群の末梢血テロメア長(T/S比、T/S percentile)をMann-Whitney U検定を用いて比較した。ACE挿入欠失遺伝子多型と移植からCLAD発症までの期間について、log rank検定を用いて解析した。観察期間中に26例でCLAD(閉塞性細気管支炎症候群:BOS15例、拘束性移植片機能不全:RAS11例)の発症を認めた。RAS発症群は男性の頻度が有意に高かったが、CLADの有無で他の臨床背景に差を認めなかった。ドナーテロメア長のT/S ratioとCLAD(P=0.195)、T/S percentileとCLAD(P=0.325)には有意な関連を認めなかったが、テロメア長に関しては測定間の再現性が十分ではなく、追加検討中である。レシピエントのACE遺伝子多型とCLADの発症までの期間に有意な関連は認めなかった。ドナーのACE多型と全CLAD、BOSには関連が認められなかったが、ACE DD多型を有するドナーからの移植肺はRASの発症リスクが高いことが示された(p<0.05)。近年局所のレニン・アンギオテンシン(RA)系の亢進とCLADとの関連が示唆されており、移植肺におけるRA系が重要である可能性がある(Berra G, et al. Eur Respir J. 2021)。本研究では、ACE DD遺伝子多型が生体肺移植後のRAS発症リスクと関連した。ACE遺伝子多型は局所のRA系の亢進、線維化への関与を通じてRASの発症に関係している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)