2021 Fiscal Year Research-status Report
赤色LEDによる脂肪由来間葉系幹細胞ADSCから肝細胞様細胞HLCへの分化誘導
Project/Area Number |
20K08928
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
齋藤 裕 徳島大学, 病院, 講師 (50548675)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池本 哲也 徳島大学, 病院, 特任教授 (20398019)
山田 眞一郎 徳島大学, 病院, 特任助教 (30579884)
森根 裕二 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (60398021)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 肝細胞様細胞 / 赤色LED / アンモニア代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的;ADSCのみならずiPS細胞含めて様々な分化誘導方法が試みられている中、機能面で肝機能を上回り、すべての機能を保持する幹細胞由来肝細胞はいまだに作製できていない。赤色LED光照射により、ADSCからHLCへの分化誘導環境の制御を行うことができ、胚葉転換のみならず、肝細胞成熟にも促進的に作用し、より機能的なsuper HLCの作成が可能か否かを検証することを目的とする。 実験方法;HLCの分化誘導のStepは、1.胚葉転換、2.肝芽細胞分化、3.肝細胞成熟の3Stepに分類されるが、胚葉転換時には青色LEDを、また、肝細胞成熟過程には、赤色LEDを照射した。照射時間に関しては過去の肝細胞への保護効果を有した1min/日に設定(Feng R, Saito Y, et al. Hepatology Research 2018)し、毎日照射を行った。 結果進捗;肉眼的には、LED照射で形態学的な変化は認めなかった。青色LED Step1照射群、青色LEDStep1照射+赤色LEDStep3照射群は、Control HLCと比較して、肝細胞成熟マーカーであるAAT mRNA発現が有意に低下しており、HLC 分化誘導に関して負の効果をもたらした。しかし、赤色LEDStep3照射群は、Control HLCと比較して、AAT mRNA発現は変わらないものの、アンモニア代謝に重要となる尿素サイクル酵素であるCPS1mRNA発現が有意に上昇していた。そこで、肝細胞機能としてCyp450また、アンモニア負荷試験を比較検討したが、赤色LEDStep3照射群はContorlと比較して、機能上昇は認めなかった。青色LED Step1照射群、青色LEDStep1照射+赤色LEDStep3照射群もCOntrolと比較して有意差を認めなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究室において、HLCの分化誘導も常時行っており、また、青色また赤色LED照射実験装置も設備されており、当初の計画の沿って実験が遂行されている。ただし、赤色LED照射方法に関しては、現在使用している装置では短時間照射しか困難であり、新たなLED照射実験装置の開発も必要となる可能性がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
青色LEDの分化誘導に対する効果は乏しく赤色LEDのStep3照射に限定して、検討をすすめていく予定である。具体的には、照射時間、また、エネルギーなど照射条件を変えて、特にアンモニア代謝に着目して研究を進めていく。また、メカニズムについて、赤色LEDの光受容体(Gタンパク質共役受容体GPCR)を介して、肝細胞分化のマスター因子として知られる肝細胞核因子HNF4αを刺激することで、肝細胞分化誘導遺伝子が強発現し、CYP450活性・グリコーゲン蓄積・脂質代謝などの機能が向上する“1.GPCRを介した作用”や、赤色LED照射で直接尿素回路の回転を円滑にすることで、肝細胞機能として重要なアンモニア代謝能が向上する“2.ミトコンドリア直接作用”に関しても検討する予定である。
|
Research Products
(5 results)