2021 Fiscal Year Research-status Report
Verification of systemic response and tumor microenvironment change in triple-negative breast cancer based on immune response
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20K08938
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
柏木 伸一郎 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (80637017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 有香 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (10806376)
藤田 寿一 大阪市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (30212187)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳癌 / 腫瘍免疫 / 腫瘍微小環境 / 免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍組織は,癌細胞とその周囲に存在する線維芽細胞や血管構成細胞,免疫細胞などの間質細胞から構成され,“tumor-stromal interactions” という相互作用により腫瘍微小環境 (tumor microenvironment, TME) と称される特徴的な環境を形成している (Nat Rev Cancer 17:457-474, 2017).そして癌治療において,宿主のTMEの評価が,予後や治療効果を予測する上で重要な役割を担うことが明らかにされている (Trends Cancer 3:19-27, 2017).申請者は前研究におい て,癌細胞自身が持つ悪性形質獲得にはTMEにおける動的変化が関与していることを検証してきた. 近年,乳癌領域においても免疫療法 (アテゾリズマブ, ペンブロリズマブ) の有用性が報告されており,今後の乳癌治療の鍵として注目されている.免疫療法は,とくに免疫原性が高いとされるトリプルネガティブ乳癌 (triple-negative breast cancer, TNBC) における有用性が示されている.また宿主の免疫微小環 境 (tumor immune microenvironment, TIME) は,癌免疫サイクルの障害の状況により3つの免疫フェノタイプを呈すると報告されている (Nat Med 24:541-550, 2018).申請者はTIMEにおける動的変化に注目し,モニタリング指標の開発,評価の方法・タイミングなどを探究してきた.本研究では,「免疫応答から捉えたトリプルネガティブ乳癌における全身反応および微小環境変化の検証」と題して,宿主の全身反応やTIMEの変化をダ イナミックに捉え,その動態変化や免疫フェノタイプの理解により従来の薬物療法と免疫療法との併用療法や逐次療法など,免疫療法を柱とする次世代の乳癌薬 物個別化療法の構築を目指す.これまでの研究成果では、TIMEのダイナミックな変化が明らかになっている。各種薬剤特性に起因する修飾など、今後は更なる機序の解明に努める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は,腫瘍微小環境のダイナミックな変化を上皮間葉移行(EMT),腫瘍低酸素,癌代謝競合や腫瘍免疫応答などの観点より検証し,その変化に関わる因子や 可塑性・不均一性を明らかにしてきた.そこで全身および局所の腫瘍免疫反応はリンクしているものかという疑問が生じた.血管リモデリングやEMT抑制作用を 有するエリブリン使用症例を用いて,使用前後での全身および局所の免疫反応を検証した.その結果は,エリブリン化学療法において投与前後標本におけるEMT 抑制,低酸素解除および腫瘍免疫亢進はTGF-βを介して誘導され,またその動的変化は絶対的リンパ球数 (ALC) にて評価できる可能性が示された (Anticancer Res 40:3345-3354, 2020). またTIMEのモニタリング指標である腫瘍浸潤リンパ球 (tumor-infiltrating lymphocytes, TILs) の評価をfibrotic fociにて行うことの有用性を検討し,FF-TILsとして新たな指標の確立に成功した (Anticancer Res 42(3):1421-1431, 2022). さらにダイナミックに変化するTIMEでは,TILsの評価も動的に施行すべきであることを明らかにした (Anticancer Res 2022 in press).これらの研究結果を踏まえて考察までには至らないが,全体としては今後の研究総括に向けて順調な進捗と思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍免疫応答は薬物療法の修飾によりダイナミックな変化を示し,原発巣と再発巣では異なるTIMEを形成する.乳癌手術症例の手術標本 (原発巣) および転移巣 のFFPE標本でのTILsの評価を行い,不均一性や可塑性,動的変化に関わる臨床的因子を明らかにしていく (再発症例 50例程度).またサブセット解析 (CD8, PD L1, FOXP3, PD-1など) を免疫組織化学染色にて行い,原発巣および転移巣での免疫フェノタイプ(immune desert, immune excluded, immune inflamed) を明ら かにし,TIME変化が治療効果や予後に与える影響を検証する.同様にEMT関連因子 (microRNA 200b/c, microRNA 544a, E-cadherin, N-cadherin, Vimentin, Snail, Twist, ZEB1/2など), 低酸素関連マーカー (microRNA 210, HIF-1, CA9, VEGFなど), 代謝系マーカー (Glut-1, Glutaminaseなど) を評価し,TME変化が 及ぼす影響についても検証をすすめる.乳癌術前化学療法症例約300例に対して同様の検討を行い,化学療法の修飾におけるTME変化を明らかにする.特にTMEを調整するとされているエリブリンなどの薬剤による修飾に注視して、研究を遂行していく。
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Causes of Carryover |
これまでの研究では免疫組織染色を中心とした研究を行っており抗体の種類が限られていた。今後は更なる研究の促進のために物品費などを主としての予算を要する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Clinical significance of expression of immunoadjuvant molecules (LAG-3, TIM-3, OX-40) in neoadjuvant chemotherapy for breast cancer.2022
Author(s)
Asano Y, Kashiwagi S* Takada K, Ishihara S, Goto W, Morisaki T, Shibutani M, Tanaka H, Hirakawa K, Ohira M.
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Journal Title
Anticancer Research
Volume: 42
Pages: 125-136
DOI
Peer Reviewed / Open Access