2020 Fiscal Year Research-status Report
甲状腺未分化癌に対するLAT1とGlut1の二重阻害による分子標的治療の有用性
Project/Area Number |
20K08939
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
榎本 圭佑 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30805750)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 真喜子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (00795594)
玉川 俊次 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40543781)
熊代 奈央子 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (50746435)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | LAT1 / 二重阻害 / 分子標的治療 / Glut1 |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺未分化癌は、極めて予後不良な高悪性度癌の一つである。我々は過去に甲状腺未分化癌においてアミノ酸トランスポーター:LAT1が過剰発現しており、LAT1阻害による新規分子標的治療の可能性を示した(Enomoto K. Sci Rep. 2019;9:14616. doi: 10.1038/s41598-019-51144-6.)。その中で、偶然にもグルコーストランスポーター・Glut1阻害によりLAT1が更に過剰発現することを発見した。 本研究では、各種グルコーストランスポーター阻害剤とLAT1の投与による相互作用により、相乗効果が期待でき、二重阻害による分子標的治療の可能性を探索する。近年、LAT1が低酸素応答分子であるHIF2aの制御をうける事が証明された。グルコーストランスポーターを介した糖代謝と、アミノ酸トランスポーターを介したアミノ酸代謝機構のメカニズムとしてHIF2aの関連も含めて本研究で、甲状腺未分化癌の細胞株を用いて明らかにする。解析は主にウェスタンブロット、定量的PCR、フローサイトメトリー、蛍光細胞染色、免疫染色などの分子生物学的手法を用いる。統計解析はPrismなどのソフトを用い行う。これらの細胞実験から得られた結果を、ヌードマウスを用いた動物実験を用い、二重阻害が生体内においても甲状腺未分化癌の制御に結びつく事を確認する。 最後に臨床患者検体におけるHIF2a、LAT1、Glut1の発現を免疫染色方法を用いて調査し、甲状腺未分化癌患者におけるこれら蛋白の意義を検索したい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Glut1阻害によりLAT1が更に過剰発現する甲状腺未分化癌細胞株と、反応しない細胞株があることが判明した。機序を考察する中で、HIF2a-MYCによる制御機構が考えられ、低酸素状態の関与の可能性が示唆された。Glut1阻害とLAT1阻害のシグナル伝達解析を低酸素分子と絡めて検索しているため、当初の実験よりやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
低酸素関連因子とGlut1阻害とLAT1阻害の関係について甲状腺未分化癌細胞株を用いて解析を進めている。ウェスタンブロット、定量的PCRなどの分子生物学的手法と、細胞増殖、壊死などの評価を組み合わせて、今後も機序解明を進める。
|
Causes of Carryover |
次年度も予定通り、実験を遂行予定
|