2021 Fiscal Year Research-status Report
Generation of designated pathogen- Free pig and challenge of Pig-to-Primate Islet Xenotransplantation
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20K08944
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
長屋 昌樹 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進フェロー (90329300)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 膵ランゲルハンス島 / 異種移植 / ブタ / DPF / SOP / 人工膵臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
1型糖尿病 (以下、本症)患者に対する膵ランゲルハンス島 (以下、膵島)移植療法の実施例は増え続けているものの、ドナー数は移植を待ちわびる患者数においつかない、いわゆる 臓器不足 によりレシピエント候補の患者は移植の待機中に様々な合併症を発症し亡くなっている。臓器不足を解消する可能性の一つとして 「異種移植」 がある。2016年、異種移植を禁じていた我が国でも、厚生労働省が移植用動物の作成法、異種の細胞や臓器のヒトへの移植等を定めた指針を改定し、異種移植はいよいよ準備段階にきた。ヒトへの異種膵島移植の実現を目指すには、感染症法に基づく特定病原体が存在ないDesignated Pathogen- Free (DPF)ブタの作出と飼育が必須である。そして、本ブタから安全に、安定的に機能する膵島が確保され、適正に移植されなくてはならない。 本研究ではDPFブタの作出と飼育を含め、DPFブタからの適切な膵島分離時期の同定、膵島の分離法の確立、そして、DPFブタからの膵島分離における標準業務手順書 (standard operating procedure: SOP)の作成を目的とする。また、分離した膵島はバイオ人工膵臓 (Bioartificial pancreas (BAP))とし、申請者らが作出したヒト型糖尿病ミニブタに鏡視下手術にて移植、移植後の膵島の鏡視下による追跡から移植に最適な部位の探索と移植後の膵島の機能評価をも目的としている。本年度は1. 分離した各年齢の膵島のin vitroにおける機能評価を行い、膵島分離の適正な時期を確定。2.確定し次第、機能的な膵島を安定的に確保するためのSOPの作成。3.異種移植評価に必要なレシピエントの準備、4.移植部位と移植法の検討、を目標とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.分離した各年齢の膵島のin vitroにおける機能評価を行い、膵島分離の適正な時期を確定: 週齢14日目、30日目で膵島分離を行い、30日目での解析を行なってきた。一般的なフラスコ内での培養から特殊な培養法にも試みた。day11はday7と比し、細胞のインシュリン含有量が約8倍まで増加することが判明した。本試験は現在も継続中である。 2.機能的な膵島を安定的に確保するためのSOPの作成: 上述の通り、現在も継続中であり、本課題は最終年まで延長とした。 3.異種移植評価に必要なレシピエントの準備: ブタ同士では異種移植にはならないが、拒絶のメカニズムを検証するために幾つかのブタモデルを準備した。レシピエントブタの数を稼げるように野生ブタも用いることにした。野生ブタに移植を行い、拒絶される現象を捉える作業から始めた。次に、適正なレシピエントを誘導するために幾つかの免疫抑制モデルの作成を外科的に行なった。a. ブタの胸腺と脾臓の摘出、b. 胸腺のみの摘出、を行い、これらには免疫抑制剤を投与するモデルとした。この検証を行う理由は、糖尿病治療は長期での治療である一方、慢性拒絶反応がどのように起こるか正確には不明なままであるからである。異種移植片は最初の急性拒絶期を過ぎるまで生き延びることはめったにないため、この分野の研究は困難である。a, bにより細胞が生着するモデルの作成が可能となった。ブタにおいても膵臓の摘出は可能で、外科的な糖尿病ブタの作成が可能となった。 4.移植部位と移植法の検討: 腹腔鏡でブタの体内に移植する手技は問題なく行えるので、これまで一般的に行われてきている腎皮膜下への移植、大網への移植を行い、さらには移植法についても検証した。現在、解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、本テーマの研究の最終年となる。分離した各年齢の膵島のin vitroにおける機能評価を継続し、膵島分離の適正な時期を確定させる。確定し次第、機能的な膵島を安定的に確保するためのSOPの作成する。移植モデルに膵島の移植を行い起こり得る現象を確認する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため研究に遅れが生じ、予算を本年度に回すことにした。
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Research Products
(1 results)