2020 Fiscal Year Research-status Report
TRIMファミリー蛋白質を介する新たな乳がん悪性化メカニズムの解明と臨床応用
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20K08945
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
東 浩太郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30401110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 聡 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40251251)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳がん / TRIM25 / TRIM44 / TRIM47 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者がこれまで解析を行っているTripartite Motif (TRIM)ファミリー蛋白質が、乳癌悪性化・治療抵抗性にかかわる分子メカニズムの解明とその応用を目指している。2020年度は、TRIMファミリーのうちTRIM25およびTRIMI44に着目し、これらの関連因子の免疫組織学的な解析を加え論文発表を行った。また、さらにTRIM47に関して、エストロゲン受容体陽性乳癌における役割、および乳癌細胞における機能について解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RIG-Iは、多くの癌腫で予後良好因子とされているが、乳癌においては、RIG-I蛋白質の高い免疫反応性は予後悪化と関連があることを示した。また、RIG-I蛋白質の高い免疫反応性は、同じく予後悪化因子であるTRIM25の免疫反応性と正に相関し、これらの2種の分子は自然免疫だけではなく乳癌細胞の中においても協調して作用していることが推測され、論文発表を行った(Sato J, Azuma K, et al. Clin Breast Cancer 2020, doi: 10.1016/j.clbc.2020.12.001.)。また、乳癌細胞株においてNF-kBシグナルを活性化することを見出していたTRIM44に関して臨床サンプルを用いて検討した。TRIM44および、NF-kBシグナルの下流因子であるtumor necrosis factor alpha-induced protein 3 (TNFAIP3, A20)の免疫反応性を検討したところ、両者の高い免疫反応性は短いdisease-free survivalと関連を認めた。これらの結果より、臨床的な乳がん組織においてもTRIM44によるNF-kBシグナルの活性化が起こっていることが推測され、論文発表を行った(Sato J, Azuma K, et al. Patho Int 71, 60-69, 2021)。
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Strategy for Future Research Activity |
TRIM47のエストロゲン受容体陽性乳癌における機能解析を引き続き進める。さらに、エストロゲン受容体陰性乳癌においての予後因子になるかどうかを免疫染色を用いて解析予定である。
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Causes of Carryover |
次年度は、蛋白質の機能解析のための実験を予定しており、抗体や細胞培養、質量分析等の費用がかかることが予想されたため、今年度の残額と合わせて使用する予定である。また、所属機関が移動したため、実験のための道具を購入するための出費も予想される。
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Research Products
(4 results)