2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the molecular mechanism of development of anaplastic thyroid cancer using gene mutation analysis and comprehensive gene expression analysis
Project/Area Number |
20K08953
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
伊藤 研一 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10334905)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 甲状腺癌 / 未分化癌 / 稀少癌 / 治療標的分子の探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
甲状腺未分化癌と分化癌の網羅的遺伝子発現解析の結果から、EpCAM (Epithelial cell adhesion molecule)に着目し、EpCAMの機能解析を行い、これまでに以下の結果を得ている。 (1) 甲状腺分化癌細胞株4種(TPC-1, KTC-1, FTC-133, WRO)、未分化癌細胞株4種(FRO, ACT-1, OCUT1F, OCUT3)で、EpCAMの発現を解析したところ、未分化癌細胞株FROとACT-1でEpCAMの著明な発現増加が認められた。これらの細胞では、claudin7、Srcのリン酸化、Eカドヘリンの発現増加が共通して認められた。 (2) FROとACT-1でsiRNAを用いてEpCAM発現を抑制すると、細胞増殖が有意に抑制された。EpCAM発現の増加が認められない分化癌細胞株(TPC-1, FTC-133)とFRO, ACT-1で、siRNAを用いてEpCAMを抑制し、コロニー形成能を比較すると、分化癌細胞株では形成されるコロニー数に変化は認められなかったが、FRO, ACT-1ではコロニー数の有意な減少を認めた。 (3) Scratch法で測定される細胞遊走能は、FRO, ACT-1ともに、EpCAMを抑制すると有意に低下した。 (4) EpCAMを抑制した場合のマトリゲルへの接着能は、TPC-1, FTC-133に比べ、FRO, ACT-1では有意に低下していた。 これらの結果から、EpCAMが未分化癌細胞の増殖、遊走および浸潤に関与していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように、一つの分子(EpCAM)に焦点を当てた解析を主に遂行しているが、未分化癌細胞のbiologyで重要な役割を担っている可能性がある分子を同定し、少しずつデータの集積ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)培養細胞でのin vitroでの解析をさらに続け、EpCAMと細胞内シグナル伝達との関連、EpCAMがどの様な分子に影響して遊走や浸潤に変化をもたらすのかを解析する。 (2)上記の解析で、未分化癌細胞でのEpCAMの重要性が確認できた場合には、ヌードマウスを用いたin vivoの実験を行う。尾静脈から未分化癌細胞を注入し、EpCAMを抑制した場合の肺転移形成能の変化を解析する。
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