2020 Fiscal Year Research-status Report
統合画像解析を用いた乳癌に対する革新的な新規治療効果予測システムの開発
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20K08955
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
舛本 法生 広島大学, 病院(医), 助教 (40528014)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乳癌 / 腫瘍浸潤リンパ球 / 不均一性 / 人工知能 / 造影超音波検査 / 造影超音波検査 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍浸潤リンパ球(Tumor-infiltrating lymphocytes:TILs)は、乳癌をはじめとしたがん免疫治療の重要な治療効果および予後予測因子である。同時に腫瘍内不均一性が生じているため、既存の組織学的評価法には限界があり、正確で簡便な診断法の確立が課題である。 我々はこれまでの研究において,USでTILs を豊富に有する乳癌(lymphocyte-predominant breast cancer:LPBC)に3つの特徴的なultrasonic tissue characterization (より分葉が多い形状,低い内部エコーレベル,より強い後方エコーレベル)があることに着目した。そしてこれらをスコア化したTILs-USスコアがLPBCの予測に有用な事を報告した (Breast Cancer. 2019)。 これまでの研究結果をもとに,乳癌症例に対して、術前化学療法前に施行したUSによるTILs -USスコアの評価が,術前化学療法の効果予測に応用できるかどうかを検討した。そしてHER2陽性乳がんにおいては,術前化学療法前のTILs -USスコアが病理学的完全奏効(pCR)の予測に有用であることを証明した(JABTS45.2020)。TILsは,HER-2陽性乳がんの術前化学療法における治療効果の予測因子になりうる可能性が報告されており,TILsの代替の効果予測因子として応用できる可能性がある。 日本乳腺甲状腺超音波医学会において『TILに関する超音波画像の研究部会』を立ち上げ,多施設での検討によりLPBCの特徴的US画像所見の検証と,LPBCの予測に応用できるかの検証を開始している。 また画像所見の良悪の鑑別およびLPBCの予測にAIを応用できるかの研究計画を立案中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は①HER2陽性乳がんにおいては,術前化学療法前のTILs -USスコアが病理学的完 全奏効(pCR)の予測に有用であることを証明した。また②術前USによるTILs-US scoreが、従前生検で評価したLPBCと同等以上に術後病理で評価した真のLPBCの予測に有用であることをこれまでに証明している。③造影超音波(contrast-enhanced ultrasonography :CEUS)は乳癌の血流評価を定量化し評価することが可能である。我々はUSにCEUSを併用したTILs-CEUS scoreが、LPBCの予測をより正確に評価できる可能性を証明している。これら①-③は論文作成による研究発表の準備を進めている。 日本乳腺甲状腺超音波医学会の『TILに関する超音波画像の研究部会』において,多施設での検討によりこれまでの単施設のデータと同様にLPBCに特徴的US画像所見があるのか,さらにLPBCの予測に応用できるかさらなる特徴的画像所見が無いかの評価について進行中である。 AIを臨床情報に活用することにより乳癌の診断予測に応用できる可能性、およびLPBCの予測に応用できる可能性について研究計画の立案を行い,準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
日本乳腺甲状腺超音波医学会の『TILに関する超音波画像の研究部会』において,①単施設の研究データを発展させ、多施設でB-mode-US所見よりLPBCの特徴的画像所見を検討,②TILsに特徴的な超音波所見をscore化する。score化したTILs US-score がLPBCの予測に応用できるかの検証、の解析を行う予定である。 乳腺領域の各種画像情報を解析し,AIを用いた画像診断支援システムを構築することで乳癌の検出や治療効果予測の向上につながる可能性がある。乳腺領域の画像情報に関する研究データを発展させ、AIの専門研究施設と連携し共同研究を行う。そして乳腺領域の画像情報にAIを融合することにより、乳癌の早期発見、最適な治療予測の向上に応用できる革新的な新規画像診断支援システムを開発することを目指している。
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Causes of Carryover |
実験用品を購入予定だったが購入しなかった為である。 今年度予定している超音波検査による血流評価やvolumeデータ解析、超音波画像と対比した病理像の解析の実験に利用する予定である。
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Research Products
(1 results)