2021 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍微小環境に依存する転移メカニズム解明に向けたバイオイメージング技術の応用
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20K08961
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
福田 正裕 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 客員助教 (60802113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石本 崇胤 熊本大学, 病院, 特任准教授 (00594889)
三宅 慧輔 熊本大学, 病院, リサーチ・スペシャリスト (10814759) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腫瘍微小環境 / 胃癌 / CAFs / 生体イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍微小環境にはfibroblastや浸潤macrophageなど多彩な細胞分画を含んでいる。なかでもCAFs (Cancer-Associated Fibroblasts)が癌の進展や浸潤・転移を促進している。 びまん性胃癌はCAFsなどのストローマとの相互作用が強いために腹膜播種などの切除不能な転移を引き起こしやすい事が知られている。胃は管腔臓器であると同時に遊離臓器であるため、実質臓器と比べ生体イメージングが難しく、2光子顕微鏡を用いたin vivo観察の論文はほとんど存在しない。本研究の目的は、2光子顕微鏡を用いたsubcellular resolution イメージングによって、癌細胞およびCAFs間の相互作用を観察し、それらの相互作用がどのように癌の浸潤・転移に寄与するのかを明らかにすることである。 我々は線維芽細胞特異的に赤色蛍光タンパクを発現する遺伝子組み換えマウスを作製、そのマウスに緑色蛍光タンパクを発現する胃癌細胞を移植するモデルを確立し、胃癌およびストローマを経時的に観察可能な実験系を確立した。2光子顕微鏡により、細胞体を可視化することができるようになったが、画像上は癌細胞周囲に存在するfibroblastが果たしてCAFsなのかどうかは不明であった。 今回、線維芽細胞の活性化マーカーであるFAP(fibroblast activation protein) プロモーター下にtd Tomatoを発現させることで、FAP陽性線維芽細胞が赤色に発色するマウス(FAP-tdT mouse)を新規に作製した。FAP-tdTマウスの皮膚から樹立した線維芽細胞も同様のphenotypeを維持する。通常状態ではtdTomatoは陰性であるが、上皮系細胞と共培養すると線維芽細胞の活性化に伴いFAPの発現が上昇し、蛍光顕微鏡を用いて可視化・定量化可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は以前確立したモデルにおける実験を通じて画像上は癌細胞周囲に存在するfibroblastが果たしてCAFsなのかどうかについて疑問を持った。CAFsとは機能上の定義であり、癌細胞周囲に存在するだけでCAFsであるわけではないからである。むろん組織を取り出して免疫染色を行えば判定可能だが、動物を殺す必要があるためin vivo imagingの意味が無くなる。 この問題を解決するため、我々は線維芽細胞の活性化マーカーであるFAP(fibroblast activation protein) プロモーター下にtd Tomatoを発現させることで、FAP陽性線維芽細胞が赤色に発色するマウス(FAP-tdT mouse)を新規に作製した。FAP-tdTマウスの皮膚から樹立した線維芽細胞も同様のphenotypeを維持する。通常状態ではfibroblastは活性化していないため、tdTomatoは陰性であるが、上皮系細胞と共培養すると線維芽細胞の活性化に伴いFAPの発現が上昇し、蛍光顕微鏡を用いて可視化・定量化可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに樹立したマウス胃がん細胞(DT-p53KO-KRASm-IB-LUC)を用いた胃壁への同所移植により血行性転移を形成する系を確立している。マウス胃癌細胞はレポータータンパク質としてLuciferaseおよびGFPを発現しており、胃壁移植から28日後に肺および肝臓からMaestroイメージングシステムを用いてLuciferaseを検出できており、組織標本からも転移巣と考えられる。 上記のマウスモデルを使って、今後2 光子顕微鏡を用いて癌細胞がどのように血行転移するのかのプロセスをtomato lectinを用いて可視化した血管と同時にin vivoで観察し、そのメカニズムを解明していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた旅費と人件費を使用しなかったため。次年度に合算して使用できる見込み。
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